第8話 レアスキル?
召喚された勇者達の訓練が始まったところで、勇者研究をしているというプロトン博士が変身勇者(森山駿助)を探しにやってきました。
「さぁ、私の自己紹介も終わったことだし、さっそく変身してみてくれたまえ」
「こ、ここでですか?」
「もちろんだとも。さぁ、早く変身を!」
「えっと、他の場所へ行きませんか? みんなの目も気になりますし・・・」
「周りのことなど私は気にしないよ。さぁ、変身してみてくれたまえ」
「いや、俺が気にするというか、その、もうしばらく秘密にしておきたいというか・・・」
「秘密にする必要はないだろう。周りは皆勇者だし、見られて困ることなどどこにあるというのだ?」
「変身した姿がちょっと、恥ずかしいというか、その・・・」
「恥ずかしがることなど何もないよ。それに、ここにいる勇者達は皆味方になるんだよ。君の変身した姿を知ってもらっていた方がいい。知らずに敵と間違えられて攻撃されても困るだろう。だから、さぁ、早く変身したまえ」
「ええと・・・・」
「さぁさぁ」
「いや、でも・・・」
「「さぁさぁ」」
「えっ、マーロン教官まで?」
「「「「「さぁさぁ」」」」」
「えええっ!?」
なんとかみんなの前で変身するのを回避しようとした駿助でしたが、プロトン博士に言いくるめられて、どうにもうまく言い訳できませんでした。
プロトン博士に詰め寄られ、マーロン教官も同調し、しまいには勇者達までが変身しろと詰め寄ります。
「わ、分かりました。分かりましたから、少し離れてください。顔が近いです。顔が!」
圧に屈した形で駿助は勇者スキルを見せることを渋々承諾してしまいました。
プロトン博士は目を輝かせて、駿助が変身するのを今か今かとワクワクしながら待っています。
他の勇者や勇者召喚機構の職員達も、この訓練場にいた人達は皆、野次馬となりはて、駿助を取り囲んでは注目の眼差しを向けています。
ううっ、めちゃくちゃ注目されてる。
逃げられるものなら逃げだしたい・・・。
く、くそっ、もうやけだ。
「駿助、行きます! 勇者ボディ、オン!」
駿助の体がキラリと光り、一瞬にして、全身白タイツ姿に変身しました。
「「「おおおっ!!!」」」
「これは素晴らしい!!!」
「って、なんだあれ!」
「ぶはっ!ひでぇ恰好」
「お笑いか!?」
「ぷ~、くすくす~」
「いや、笑っちゃ悪いよ~、・・・くすくすっ」
みんな一斉に驚きの声を上げた後、プロトン博士の感激の叫びをはじめとして、皆好き勝手なことを言いながら大笑いしています。
中にはゲラゲラと腹を抱えて転げまわっている勇者の姿も見られます。
くっ、やはりこうなったか。
俺だって、自分じゃなけりゃ笑い飛ばしてるところだよ!
ううっ、恥ずかしい!!!
「うん、なかなか面白いスキルだね。変身といえば変身だろうけど、見た感じボディスーツを生み出しているようだ。成長した勇者が強力な剣や盾なんかを生み出すスキルを習得した例はあるけれど、召喚したばかりの勇者が、しかも全身を覆うほどのものを生み出すなんてのは初めてだよ。いや、実に素晴らしい!」
おや?
博士は、褒めてくれてる?
「さぁ、君のスキルについて詳しく調べようじゃないか。未知なるボディスーツに秘められている可能性を解き明かそうではないか!」
「は、はぁ・・・」
プロトン博士は、その目を輝かせながら、バシバシと駿助の背中を叩いて上機嫌です。
その様子を見て、周りを取り囲む勇者達もひそひそと小声で話し始めます。
「なんか、凄いスキルらしいぞ」
「えっ? あれが?」
「秘められた可能性って何だ?」
「まさかの無敵チートスキルか?」
俺のスキルって、ひょっとして凄いスキルなのか?
勇者研究の博士が言うのだから期待してもいいのでは?
もしや、すっごい能力が秘められているとか・・・。
いやいや、落ち着け、俺。
昨日の結果を見る限り、それほど強くはなっていないような。
ちょっと聞いてみるか。
「あのう、博士。昨日、俺のスキルでは、石柱に傷一つ付けられなかったんですけど・・・」
「ん? ああ、そんなの気にすることは無いよ。君達は召喚されたばかりだから、魔力の扱いに慣れていない。魔力をうまく使えるようになれば、勇者スキルの威力は何倍にも跳ね上がるからね。それに、そのボディスーツの能力は攻撃力だけじゃないかもしれないよ。うん、そこんところも詳しく調べようじゃないか」
おおっ、これは期待できるかも?
攻撃力だけじゃないというと、もしかして、ダメージを全く受けないとか?
実は身体能力が物凄く上がっているとか?
うはっ、なんか、思ってたのと違うんだけど、ちょっと、ワクワクしてきた。
その後、駿助はレアスキル研究という名のもと、スキルの詳細を調べる為に、プロトン博士に連れられていきました。
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