第5話 勇者達
勇者50人が召喚されたと聞いて、駿助達は驚きの顔を見せるのでした。
「私は、アーサー・ペンドラゴン。君達と同じく召喚された勇者さ。出身は日本なのさ。よろしくね」
「あ、あぁ、俺は小岩井竜馬。日本人だ。よろしく」
「俺は森山駿助。同じく日本人。よろしく」
金髪イケメン男、アーサーと駿助達は軽く自己紹介をして、握手を交わしました。
小岩井竜馬と名乗る男は、爆裂剣という勇者スキルで石柱を粉々に砕いてしまった勇者です。
「二人とも、日本人らしい名前だね。折角の異世界なんだから、私のようにかっこいい名前にすればよかったのにさ。あ、元の世界での名前は秘密なのさ」
「そ、そうですか。あはは・・・」
「それより、勇者が50人って本当かい?」
名前の話に、駿助が愛想笑いで返していると、竜馬が勇者50人の真偽を尋ねました。
「ああ、間違いないさ。私達と同じ服装をしている人達は召喚された勇者なのさ。召喚したのは勇者召喚機構って組織で、朝からずっと召喚し続けているんだってさ。朝のうちに召喚された勇者達は待ちくたびれてしまって、トランプなんかで遊んでたりするのさ」
「そんなに勇者を召喚してどうするんだ?」
そうそう、数が多すぎるんだよな。
あ、でも、クラス全員が召喚なんてラノベもあったな・・・。
そういうのって、能力に当たり外れがあったりするんだが・・・。
まさか俺の勇者スキルって・・・。
「それなんだけどさ、なんでも魔王軍が各国にゲリラ的に出没するらしくてさ、1人や2人の勇者では対応しきれないから、可能な限り勇者を召喚しているらしいのさ。聞けば、半年に1度、50人程度召喚してるらしいのさ」
「半年に50人って、年間100人の勇者か!?」
「うん、4~5年前に新たな魔王が現れてから大々的に召喚しているというから、400人以上の勇者が召喚されている計算になるのさ」
「400人か・・・・」
うん、そういう反応になるよね、竜馬くん、だったか?
俺も同じ顔になってるよ、きっと。
魔王軍がゲリラ戦って、なんだよ。
それに、もう既に400人の勇者がいるのか、この世界。
あー、勇者に当たりはずれがあるパターンだよ、これ。
俺の勇者スキルって、かなりあれだったよな。
なんかやばくね?
なんか、思ってたのと違う!!
「そうすると、先輩勇者は既にかなりの高レベルになっていそうだな」
小岩井竜馬が顎に指を当てて呟きました。
「あー、それなんだけどさ、この世界にはレベルの概念が無いらしいのさ」
「「えっ?」」
「うん、やっぱり驚くよね。私も最初聞いたときは驚いたのさ。異世界と言えばレベルがあるのが常識だと思ってたからね。レベルアップしてどんどん強くなるっていうパターンがさ」
「それじゃぁ、ステータスにポイントを振って強くなるってパターンか?」
なるほど、そのパターンがあったな。
小岩井竜馬よ、おまえ頭の回転が速いな。
「それがさ、ステータス自体がないらしいのさ」
「「マジで?」」
「うん、鑑定の魔法や魔道具も無いって話さ」
「嘘だろ~」
鑑定もステータスも無しと聞いて、小岩井竜馬がそう呟きながら天を仰ぎました。
駿助も頭を抱えています。
「昼に去年召喚された先輩勇者が来てさ、その時聞いた話だから間違いないのさ」
「だけど、さっきここの職員?の人が、勇者は成長するって言ってたぞ。だから努力しろって。それならいったい何をすれば成長するんだ?」
今度は駿助が質問しました。
小岩井竜馬も相槌を打ちます。
「その先輩勇者が言うにはさ、魔力を使うんだってさ」
「「魔力!!」」
「そう、魔力さ。異世界に来たって感じだよね。それでさ、攻撃に魔力を込めると攻撃力が上がるし、魔力を体に纏うと防御力が上がるんだってさ」
「「ほうほう」」
「つまり、魔力量が多ければ多いほどここでは強くなれるということなのさ」
「なるほど。で、俺達の魔力量が多いか少ないかってどうやったら分かるんだ?測定方法とかあるのか?」
「あ、あと、魔力量って増やすことが出来るのか?魔法を使えば使うほど増えていくとか?」
魔力の話になって、テンションが上がった小岩井竜馬と駿助は、それぞれ気になることを質問しました。
「いや、詳しくは私も知らないけれど、先輩勇者の話だとさ、魔力量を測定する魔道具はあるらしいけど、まだ試作段階みたいであまり期待しない方がいいってさ。それから、魔力を使えば使うほど魔力量が増える気がするというか、攻撃力は上がるって言ってたのさ。人によってそのあたりの感じ方が違うらしいから、これも参考までにと言ってたけどね」
「そうか。魔力が成長のカギとみてよさそうだな」
「うんうん」
アーサーの説明に、小岩井竜馬は考え込む様に呟き、駿助はうんうん頷いていました。
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