第66話 蹴った

妊娠6ヵ月…お腹も結構大きくなってきた。

無理はいけないけど、多少は動いた方がお腹にも良いと言われていたので

旦那様と一緒にスーパーで買い物によく行っていた。


「ふぅ~…やっぱり体が重いな~」

「大丈夫か?タクシー使うか?」

「ありがと。でも少しは動かないとだし。」

「う~ん…まあでも無理はいけないから、辛かったいつでも言えよ?」


旦那様は過剰に心配して、家事を率先してやってくれる。

ちょっと心配しすぎだと思うけど本当にありがたい。


「いつもいつもごめんね。ありがとね。」


「そんなの当たり前だ。むしろ役に立って嬉しいよ。

 遠慮せずに何でも言ってくれ。」


「私も…何かしてあげられると良いんだけど…」


「あ…それならまた…」


「ふふっ♪良いよ♪」


旦那様は私に近づきそっとお腹に顔を当てる。

ここの所、毎日私のお腹に耳を当てるのが日課となっていたのだ。


ただこの日は少し様相が違った。

ドン!

不意にお腹から衝撃を感じた。


「「 え!? 」」

私たちはお互いに顔を見合わせた。


「い、今…お腹…蹴ったんじゃないのか?」

「う…うん、蹴ったね…」


「「 え!?え!?…すご~~~い!! 」」


一瞬だったけど、初めてお腹を蹴られて

二人とも子供のように興奮してしまった。

新しい命が順調に育っている事に喜びを感じた。


「しかし大きくなってきたな」


「そうだね(苦笑)

 ところでさ…大きくなったのは実はお腹だけじゃないんだよ?

 気づいている?」


「え?…そ、それは…その…胸…ですかね…」

旦那様は恥ずかしそうにしている。


「当たり~♡

 ちょっと下着がきつくなってきたから

 この間マタニティ用の下着買ったでしょ?

 その時にサイズも計ったら、Iカップになってたんだよ♡

 一時的にだけど、後藤さんと同じだよ?嬉しい?♡」


「あ…Iカップ~~!!!それがIカップなのか~~!!」


「ぎるてぃ~!今、後藤さんの顔を思い浮かべたでしょ?…」


「そ、そんな事は…ない…」

旦那様は動揺を隠せないでいた。


「図星か…全く…しょうがないパパですね~

 本当に昔から巨乳好きはなんだから~」

私はお腹をさすりながら言った。


「なっ!最愛の娘を味方につけるとは…ひ、卑怯だぞ~!」


「そんなに…おっぱい好きなの?」


「…えっと…あ~…は、はい…」


「私の事を高校時代に女として意識した理由の1つが実はおっぱいだった?

 後藤さんには叶わないけど…

 それでも当時女子高生としては大きいFカップだったしね…

 どうなの?」


「えっと…はい…正直…それは要因の1つだったと思います…」


「何回かハグしたと思うけど…実はすっごくドキドキしてたの?」


「…はい…ドキドキしてました…理性保つの大変でした…」


「あははは~、正直だな~♪

 しょーがない…おいで♪あなた♡

 今日もドキドキさせてあげる♡」






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