第60話 新婚旅行 5日目
今日は無人島に行き、一日中ビーチでのんびりする日だ。
正直無人島でほっとしている自分がいる。
沙優が楽しみにしててと言った以上…そういう水着なんだろう。
・・・
「お待たせ♪あ・な・た♡」
振り向くと黒いビキニを纏った沙優がいた。
うん…かなり際どい下着の間違えじゃないだろうか…
普通のビーチだったらどうなっていたことか…
ん?無人島だからこそそんな大胆な水着を買ったのか?…
「あれ?難しい顔してるね?眼福じゃなかった?」
沙優が少しがっかりした顔をしていたので
「いや…あまりにも刺激的過ぎて、この姿見れるのが俺だけという嬉しさと
普通のビーチだったら間違いなく嫉妬してだろうなっていう安堵感で
こんな表情になっただけだよ(苦笑)」
「それじゃ喜んでくれてるって事で良いのかな?(笑)」
「もちろん!」
・・・
二人でシュノーケリングをした。
熱帯魚がすぐ近くで見れて水中にいるのに沙優がはしゃいで喜んでいるのが分かる。
本当に沙優のこういう表情見るとほっこりするな。
ふと考える…
自分独りだけだったらどんな生活を今頃してたのだろうか?
こんな風に穏やかに過ごせたのだろうか?
心の何処かで孤独感があり、それを沙優が癒し、安心させてくれている。
それがどんなに心に染みるか…
そして…新しい絆があれば…俺はもっと…
「んん~、シュノーケリングって楽しいんだね?
ん?どうしたの?あなた?」
沙優が心配そうに俺の顔を覗き込んでいる。
俺は沙優の目をじっと見つめて沙優の手を握った。
「え?」
「沙優がずっと傍にいてくれて…俺は凄く楽しくて…潤いを感じていて…
もっと感じたいというか…」
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沙優視点:
どうしたんだろう?急に甘えて来て…
ふふっ、ちょっと揶揄っちゃおうかな?
「うん?それで手を握りたいの?
ふふっ、可愛い♡」
私は旦那様を優しく抱きしめた。
「無人島だからって甘えん坊さんね♡
嬉しいけど♡
私はずっとあなたの傍にいるよ?大丈夫だよ?」
旦那様の心臓がドキドキなっている。
本当にどうしたんだろう?
旦那様は耳元で囁いた。
「沙優…あの…さ…子供を本格的に計画…しないか?…」
「え?」
正直びっくりした。
私自身はそういうのを積極的に誘ってきたつもり。
ただ、心の何処かで不安もあった。
幼少期に自分がああいう経験をしてきたから…
本当に自分がお母さんになれるのだろうか?
漠然とした不安も少しあった。
旦那様は、凄く慎重で臆病な面があり、
何だかんだでそういうのはもっと先の話だと思っていたし
ある意味旦那様の臆病な面を言い訳にして少し安心している自分もいた。
でも…ここがきっと分岐点なのだろう…そう自然と思えた。
だから私は覚悟を決めて答えた。
「うん!」
その日ホテルで私たちは初めて何の遠慮もなく抱き合った。
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