第50話 沙優の誕生日と成人式

今更ながら…凄く重要な事を思い出した。

沙優の21歳の誕生日が近いのは良いとして…

あれだけ盛大に30歳の誕生日を祝ってもらった癖に…

俺は沙優の20歳の誕生日をお祝いしてなかった…

沙優と2年ぶりに…正確には2年半ぶりなんだが…

久しぶりに会えた事自体に浮かれすぎていて…

すっかり忘れていた事実を思い出したのだ…


20歳って節目も節目…

そもそも成人式は?…

それに比べたら30歳なんて大した節目じゃないのでは?


これはあってはならない失態だ!

去年の分も含めて2年分の誕生会を実施する!

俺はかつてないほどの決意を固めた。


・・・


「沙優!」


「なぁに?吉田さん♡」


「明日は誕生日だな!」


「うん。覚えてくれたんだね。ありがとう♪」


…うっ!去年の事があるからすっごく後ろめたい…


この間の一件で俺は学んだ。

隠し事が変に拗れるぐらいならば恥ずかしいが、

もう自分の気持ちを正直に伝えようと。

幸い夜の生活は順調なので沙優は機嫌が良いはず…


「それで…その…あの…」


「うん?どーしたの♡」


「去年は20歳という節目の誕生日を祝うの忘れていて申し訳なかった!

 その…2年半ぶりに沙優に会えた事の嬉しさの方が大きすぎて…

 あってはならない事なんだが沙優の誕生日を忘れていたんだ!

 で…本当に勝手なんだけど今年は20&21歳の誕生日をお祝いさせて欲しい!」


「うん♡ありがとう♪

 それに気にしないで♪

 私も吉田さんに会う事で浮かれていて、

 誕生日を祝うとかは二の次だったから(苦笑)」


「…成人式はどうしたんだ?」


「行ってないよ?

 私にとって一番大事だったのは吉田さんに会う事だったから、

 それ以外はの事は些細な事だったの…♡」


「せめて…振袖を着て…写真だけでも取らないか?」


「え?もう少しでウエディングドレス着るから別に…」


「いや…でも成人式だぞ?

 それに…沙優の振袖姿を見てみたいんだが…」


俺は顔が少し熱くなった。


「え?本当?

 浴衣といい、吉田さんは実は和服フェチなの?(ニヘラ~)

 じゃあ着たい♪

 ありがとう、吉田さん♡」


・・・


誕生日当日。

沙優は濃い赤系の花柄のワンピースで着飾った。

大人びた感じがして少しドキドキした。

俺たちは写真館に行った。


「うわぁ~~~、色々種類があるね~♪」


沙優は真剣に色々みて淡い水色の奇麗且つ可愛い振袖に決めた。


「どう?吉田さん?

 眼福かな~♪」

満面な笑みで沙優は聞いてきた。


「…うん。可愛らしいし…やっぱり奇麗だ…

 沙優は振袖が似合うんだな…」


「ふふっ♪ありがとぅ♡」


・・・


俺たちは手を繋ぎ、水族館に行った。


少し子供っぽい気もしたが、

意外と沙優は動物園、水族館、植物園を見て子供のようにはしゃぐ。

その喜ぶ顔を見るのが好きだった俺は水族館を選択したのだ。


イルカショーやペンギン、アザラシと色々と楽しんだ。


「うわぁ~~~、小さいアザラシ可愛いね~~♪」


「楽しいか?(笑)」


「うん♪小さい頃あまり連れて行って貰えなかったから好きよ♪

 ありがとぅ♪吉田さん♡」


・・・


その後近くのホテルのレストランで夕食を楽しんだ。


「沙優…20歳と21歳の誕生日おめでとう!」


「ありがとう。吉田さん♪」


「これは…プレゼントなんだけど…」


俺は沙優に少し大人っぽいイヤリングを送った。

そして…ダイヤモンドの婚約指輪も。


俺はドキドキしながら、婚約指輪を沙優の薬指にそっとはめた。


「…あ…ありがとう…私…本当に幸せだよ♪」


「良かった。喜んでくれて。」


・・・


そしてそのままスウィートルームに向かった。


「去年は本当にごめんな。大事な節目だったのに…」


沙優は俺の頬に手を当てて、そっとキスをした。


そして潤んだ瞳で

「私の20歳の誕生日で一番欲しかったのは…貴方なのよ?

 ずっとずっと貴方に会いたかったの…

 それが叶った…

 だから去年は…もう十分幸せもらったのよ?

 今年もありがとう♪

 大好きだよ♡吉田さん♡

 これからもずっと私の傍にいてね♪」


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