第37話 プロポーズ前の葛藤 価値観(吉田視点)

プロボーズするまで俺はこのまま沙優と結婚して良いものか…少し悩んでいた。


何を悩んでいたかと言うと…年の差だ…

俺と沙優は10歳近く年が離れている…


考えてみると凄いことだ!

だって、俺が20歳の時に沙優は11歳…

つまり、俺が大学生の時に沙優は小学校高学年なのだ…


大学生が小学生にプロポーズ…うん…普通に犯罪だ…


いくら恋愛に年齢は関係ないと言っても…そう考えると構えてしまう。

何より価値観が相当違っていても可笑しくはない。


今はお互いに恋に盲目状態だから良いが…

慣れて来て、一緒に生活しているうちにお互いの嫌な面が見えて…

価値観もかなり違っていたら…沙優は疲れてしまうのではないだろうか?

どうしてもそういう風に考えてしまう…


確認してみよう…少し俺が沙優に合わせてみよう…


「沙優!」


「びっくりした!どうしたの?大きな声出して!」


「今日は一緒に買い物に行こう!

 ちょっと暑くなってきたから涼しい洋服を買いに行こう!」


「え?良いけど…どうしたの?」


「急に行きたくなった!」


「そうなの?…うん。勿論良いよ♪

 あまり二人でそう言う所行ったことないから楽しみだね♪」


・・・


俺たちは若者の人気のお店に行った。

人が多い。それだけで少し俺はうんざりした。


「吉田さんは…これなんか似合うんじゃない?

 この半袖の青いシャツも良いな♪」


沙優はテンションが高い。


俺はあまりこういう所は好きではないが、

沙優の嬉しそうな顔を見るのは悪くない。


俺は可愛らしい白いワンピースを見つけて

「これ…沙優、似合うんじゃないか?」


「え?吉田さんが選んでくれたの?

 嬉しい♪試着してみるね♪」


・・・


「どう?似合ってる…かな?」

「…いや…やっぱ…可愛いと思うぞ?」


沙優はちょっと恥ずかしそうにニコッと笑って

「ありがとう♪これ買うね♪」


・・・


そして二人でお洒落なお店でランチを取った。

中には若いカップルばかりで、少し俺は浮いている。


「美味しいね♪」

「そうだな…」


少し場違いで恥ずかしい感じはするが、

沙優が嬉しそうなので俺も悪くない気分になる。


・・・


食事を終え、二人で日用品を買いに行く。

非常に人が多く、正直俺はうんざりする。


「離ればなれになるの嫌だから、手を繋いで♪」


…沙優の柔らかい手を握ると…うんざりした気持ちも薄れていく…

ん?こういうのは苦手なはずだが…沙優が一緒にいてくれると

そんなに苦痛を感じない。

むしろ少し楽しい位だ…

あれ?大丈夫なのか?俺…


・・・


「ただいま♪」

家に着くとドッと疲れが出てくる。


「吉田さん、明日はどうする?」


出かけられなくはないが…少し意地悪を言ってみる。


「いや…今日は人に酔って疲れちゃったな…おじさんにはちょっと厳しかった。

 明日は一日ゆっくり家でのんびりしたいな。」


…当然…沙優は物足りなく思うだろうな…


「ふふっ、おじさんだな~♪

 でも私も人が多い所はちょっと苦手で、今日は少し疲れちゃった(苦笑)

 買い物は楽しかったんだけどね♪

 明日は家で二人でゆっくりしようね♡」


「!?そうなの?」


「え?そうだよ?」


「俺に合わせて無理して言ってないか?

 沙優は若いから…もっと若者が行くような店に行きたいんじゃないのか?」


沙優は難しい顔をして

「ん~~~…私あんまりそう言う所に興味ないんだよね…

 たまに行くぶんには良いけど。

 それよりも公園とか…吉田さんと二人で静かな所で歩く方が好きだよ?」


「だって煩い所だと吉田さんの声が良く聞こえないし…

 人がいるから密着してくっつくのはちょっと嬉しいんだけど…(笑)

 でも…それなら家でイチャイチャしたいし♡」


「…年齢差がかなりあるから…価値観が違うんじゃないかと…」


「ぷっ…あははは…吉田さんそんな事考えてたの?

 あっ…ひょっとして今日はわざと私に合わせてくれたの?」


「いや…そんなことは…」

吉田は恥ずかしそうにぼそぼそ言った。


沙優は後ろから吉田にハグをした。

「…ありがとう…でも心配しなくても、大丈夫♪

 年齢差はあるけれども…私何も無理してないよ?

 だって…いつもいつも私の事ばかり考えてくれる

 こんな素敵な人が近くにいるんだから♪

 私…幸せだよ?

 そんな事より…明日はイチャイチャしよ♡」


沙優が嬉しそうな笑顔でそう言うので…

俺が勝手に悩んでいた事は些細な事だと実感した…








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