第32話 親友

「もしもし、沙優チャソ?元気~?新婚生活どうよ?」

「あさみ!元気だよ!…まだ結婚してないけど…(顔がにやける)

 うん。幸せだよ♪」

「ウチ、ゼミの調べもので丁度仙台に行くことになったから…

 良かったら会わない?」

「え?あさみ仙台来るの?会いたい!会いたい!」


・・・


「うん。じゃあ来週の土曜日のお昼に仙台駅の東改札口で」


「吉田さん!あさみが来週の土曜日に仙台に来るんだって!会いに行ってくるね!」

「おう。あさみか。なんなら家に連れて来て泊ってもらったらどうだ?

 宿代浮くだろうし。沙優も積る話もあるだろう?」


「良いの?」

「勿論だ。あさみには何だかんだで俺も助けてもらったしな。」

「ん?助けてもらった?」


吉田は少し罰の悪そうな顔で

「いや…うんと…正直に白状すると…沙優の高校の様子が気になっていたから

 度々あさみに様子を聞いていたんだ…

 …その…内緒で沙優の高校生活の写真とかも貰ったりして…

 ごめんな…勝手に…」


そもそも修学旅行の時にあさみから写真を貰う吉田の姿を直接見ていた沙優は

(第2章25話 修学旅行参照)

「私の写真?…エッチな事に使っちゃった?♡」

いじわるな笑みを浮かべながら聞いた。


「いや…そんなんじゃなくてさ…本当に心配で…気になっていたんだ…

 でも写真はとても楽しそうで…嬉しかったんだ…本当に…」


本当に沙優を心配していた事が伝わり、沙優は申し訳ない気持ちになり

「あ…ごめんなさい…茶化したような言い方をして…」


「本当はね…本当は…私も凄く連絡取りたかったんだけど…

 電話して…大丈夫だよ。吉田さんのお陰で楽しいよ。

 って言えば良かったんだけど…

 勝手に大人に会うまで会わない約束には電話も含まれていると

 自分の中では思っていたから…その…心配かけてごめんなさい。」


「いや…俺もそんな気がしていたから電話しなかったわけだし…

 だから間にあさみに入って貰って…迷惑かけたなって…」


「うん…そうだね…あさみには本当に感謝している。

 高校の時にクラスメートと仲良くなれたのも、

 あさみのアドバイスのおかげなんだ。」


「そうか…じゃあ家に来た時は歓迎してやらないとな!」


「うん!」


「あっ…それと…」

吉田は少し恥ずかしそうな顔をして

「学園祭?のウエイトレス姿は…凄く良い笑顔で…凄く一生懸命な感じがして…

 その…凄く…可愛かった…と思うぞ?」


沙優も頬を赤らめて

「…ありがとう…今度着てあげるね♪」


・・・


あさみが来る当日。

ピンポーン

「ただいま!吉田さん!」

「お久~、吉田っち。本日はよろ~」

「久しぶりだな、あさみ。今日はゆっくりしてってくれ。」


「ん?凄い大きなぬいぐるみだな?どうしたんだ?」

「どう?凄いでしょ?このぬいぐるみ、あさみが取ってくれたんだよ!

 久しぶりのゲーセン楽しかった~♪」

「こんなの良く取れたな!凄いな…」

「まあね~♪」


「じゃあ私夕食の用意するね♪」


「いや~、沙優チャソの料理美味しいから楽しみだな~♪

 毎日食べられる吉田っちが羨ましいよ。この幸せ者め。」

「そうだな…それは感謝してるよ。」


「小説の調子はどうだ?」

「何作か書いてるんだけどね~…どうもね…

 あ、今日1作品持ってきたから今晩読んでみてくれない?」

「分かった。」


・・・


「晩御飯できたよ♪」

「うわぁ~美味しそう…頂きます。うまっ!!!」

「お、今日はいつもよりも更に旨い気がするな」

「うん。少し味付けを辛めにしたの。良かった。」


・・・


「すまん。あさみ…沙優に写真の事話しちまった。

 沙優には謝ったんだけど…」

「写真?え?沙優チャソから何も聞いてないの?」

「?」

沙優はそっぽ向いている。


「ふぅ~、沙優チャソ…色々と白状した方が良いんじゃないの?」

「うぅ…吉田さん…ごめんなさい…」

「??」


「実はね…2年ぶりに再会した場所は、

 偶然じゃなくて私と沙優チャソで計画してんだよ。」

「それは分かってる。あの日あさみは来ないよって沙優に言われて

 二人で計画してたんだなって想像ついたから。」


「じゃあこれは知ってる?…沙優チャソ修学旅行…東京だったんだよね~」

「え!?そうなのか?」


「だから吉田っちを呼び出して写真を渡したあの日あの場所の近くに

 実は沙優チャソいたんだよね~、遠目から吉田っちを見てたわけ!」

「!?マジか」


「ご、ごめんなさい~会う事は約束あるから無理だけど

 遠目から見る分にはセーフかなって…

 どうしても遠目からでも見たくて…」


「じゃあ写真貰った時に直接見たんだ…なるほど…

 あれ?でも修学旅行って自由時間はあるんだろうけど

 そんなに勝手に行動できるほど時間に余裕あるものなのか?」


「そこは沙優チャソの涙ぐましい努力があってね♪」


「あーーー、あさみそこまで言わなくても…」

沙優は顔を真っ赤にしていた。


「学園祭で優勝したら…自由時間+1時間貰えるから

 沙優チャソ張り切って、〇イド喫茶並みのサービスをウエイトレスでやって~

 男子生徒を虜にして優勝搔っ攫うっていう力業で(笑)」

(第2章24話 学園祭参照)


「はははは、だから楽しそうだったのか…そっか…そんなに必死に…

 …少し嬉しいよ。俺を見るためだったんだろ?」


「…うん…」


「でもそんなに男子生徒に人気あったのなら告白とかされたんじゃないのか?」


「勿論されたよ!…あっ…ごめん。沙優チャソ…」

(第2章26話 告白と卒業式参照)

沙優は凄く動揺して

「で、でも…私は吉田さん以外考えられなかったよ!!本当だよ!!」


「…そっか…うん。当然だと思う…沙優は可愛いし…

 正直ちょっと嫉妬する気もするが…

 青春を謳歌してくれたみたいで嬉しくもあるよ。

 それに俺を選んでくれたんだし…嬉しいよ…沙優…」


「吉田さん…♡」


「はい。そこ二人の世界に入らない!

 今日は沙優チャソと一緒に寝るのはウチだから!」


「分かってるよ。俺は今晩は小説を見るんだろ?」


「そうそう!久しぶりに感想聞かせて!」


「あさみ…色々とありがとな。今後も沙優と仲良くしてやってくれな。」


「もち!」












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