第31話 沙優のおもてなし大作戦 その1
「今日は俺の方が歓迎会があるから少し遅くなるよ。」
「随分遅い歓迎会だね。」
「色々と皆忙しくて都合悪くて中々調整できなかったみたいだ。
まあ歓迎会&プロジェクトの締めのお疲れ様会を兼ねてだな。」
「飲みすぎないように気を付けてね…って私に言われたくないか…あはは(苦笑)」
「あっ…でも初めて会った日はべろんべろんに酔ってたんだから
やっぱり飲みすぎに気を付けてね。」
「あれは失恋の上でのヤケ酒だったんだから特別だよ。
もうそんな事にはならない。」
俺は少し恥ずかしながら
「沙優は…その…俺から…離れないだろう?」
沙優も頬を赤らめながら
「うん♪勿論だよ♡」
沙優はそっと近づき、俺にキスをした。
「いってらっしゃい♪」
「おう」
・・・
さて…私も行かなくちゃ…
・・・
「ふぅ~…ただいま~」
って誰もいないんだけどさ。
夕飯はいらないだろうけど、
きっと酔い覚ましにお味噌汁は飲みたいだろうから用意しなくちゃ。
でもこの間迷惑かけちゃったな…
そうだ!今日は吉田さんにおもてなししよう!
・・・
ピピッ…
ん?沙優からのラインメッセージ?
「吉田さん、この間は迷惑や心配をおかけしてごめんなさい。
今日はそのお詫びもかねて吉田さんをおもてなしするので楽しみにしてね♪
気を付けて帰ってきてね♡」
「吉田~どうしたんだ?ニヤついて。」
「いえ、ちょっと彼女が…」
「あっ、やっぱり?吉田さん彼女いるんですね。いつもお昼お弁当ですしね。」
「ええ。一緒に暮らしてるんです。」
『『 きゃ~~~ 』』
「へぇ~、同年代くらいの彼女なのかい?」
「いえ…大分年下です。10歳近く…」
『『 きゃ~~~ 』』
「え?それじゃ学生さん?」
「いえ、高校卒業後すぐに就職して今は社会人ですよ。」
「そんな若い子なのに毎日お弁当を?」
「お弁当だけじゃなく、朝ご飯や晩飯も、掃除も洗濯も…です
正直料理はとても美味しくて…外食に行く気すら失せるくらいです。」
『『 きゃ~~~、惚気ている!! 』』
「すっごい家庭的で健気な子なんだね。
普通そんなに若かったら遊びたい盛りで
そんな完璧な主婦みたいな事やってくれないよ?」
「…そう…なんでしょうね…感謝してます。」
「いや…そりゃ定時に帰るわけだ。もう恋人というよりも新婚さんじゃない?」
「ははは…(苦笑)」
・・・
他の人と話すと改めて感じる…そうだ…沙優は…
いつも健気で…俺に尽くしてくれて…
俺は沙優にもっともっと感謝する必要がある…
…花…でも買って帰ろうか…
俺は花屋で桔梗の花が混ぜった花束を買った。
・・・
ピンポーン
「ただいま」
「お帰りなさい♡」
「え?」
浴衣姿の沙優が俺を出迎えた。
「ふふっ、以前同棲した時に私が何をしてもドキドキしてくれなかった吉田さんが
唯一 『『 奇麗だ 』』 って言ってくれたから…喜んで貰えるかなって…」
「…奇麗だ…」
「後藤さん…よりも?…」
沙優は少しおどけて話した。
「後藤さんよりも…ずっとずっと…奇麗だ…」
「あ、ありがとう…」
俺が真面目に答えたので、沙優は赤くなってしまった。
お互いに赤くなって…でも目が離せなくて…無言になった。
「あれ?その花束は?」
「これは…沙優に買ってきたんだ」
「え?」
「いつもいつも…美味しいご飯も掃除も洗濯も…ありがとう。
いつもいつも…俺の傍にいてくれて…安らぎをくれて…ありがとう。
これからも…ずっと俺の傍に…いて欲しい…」
そう言って俺は花束を沙優に差し出した。
「うぅっ…ありがとう…勿論だよ♪
私はずっとずっと吉田さんと一緒だよ♪
今日は…ぐすん…私がおもてなしする日…ぐすん…なのに…」
うれし泣きする沙優を俺は優しく抱きしめた。
・・・
「お花、奇麗…この紫っぽい花がアクセント効いていて良いね。
何の花なんだろう?」
「桔梗の花…」
「あ、お風呂入ってきて。その間に味噌汁あっためるから。飲むでしょ?」
「ああ、ありがとう。」
・・・
…あの吉田さんが…花束なんて…すっごい嬉しい…
桔梗の花?何か意味があるのかしら?
スマホで調べると 桔梗の花言葉 永遠の愛、変わらぬ愛
沙優は顔が真っ赤になり、ドキドキドキドキ…胸が高鳴った。
・・・
「ふぅ~、スッキリした。」
「あの…吉田さん…桔梗の花って…」
「…うん…俺の気持ちだ…」
「…プロポーズって事?…」
「え?ええっと…まだそこまでは考えてないけど…
でもそういう意思は強く持っているよ。」
「今日飲み会で沙優の話をしたら…客観的に見ても
沙優はすっごく健気で俺の為に尽くしてくれて…
俺なんかでは勿体ないくらい美人で可愛くて…
それが改めて確認できて…本当に感謝しているんだって事を
態度で示したかったんだ…
いつもいつもありがとうって…」
「だから…今日は…ぐすん…私がおもてなしする日なの!…」
・・・
ズズッ…味噌汁を食べた。
「…美味しい…本当に美味しい味噌汁だ…身体に染み渡るよ…」
「吉田さん!」
沙優は正座して、
「膝枕してあげる♪」
俺は沙優に近づき、膝枕をさせてもらった。
柔らかい…良い匂い…そして浴衣姿が色っぽい…
沙優は俺の頬を手でさすりながら…
ちょっと涙ぐんだ瞳で精いっぱい、にへら~と笑って俺を見つめている。
ああ…本当に癒される…俺は…お前の笑顔が大好きなんだ…幸せだな~…
そう思いながら、お酒と連日の疲れのせいでそのまま沙優の膝で寝てしまった。
「あっ…寝ちゃった…まあでも今日は仕方ないか…」
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どういう話が皆良く思ってくださるのかなと気になるので。
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