第30話 酔い恋慕
『『 行ってきます~ 』』
週明け、吉田と沙優はそれぞれ新しい職場に初出勤となった。
・・・
「吉田さん、明日なんだけど職場で私の歓迎会があるので帰り遅くなるの。
晩御飯は作っておくから、良い子にして待っててね♪
なるべく早く帰ってくるから♪」
「俺は子供か!(苦笑)、まあゆっくり楽しんできなよ」
「万が一…酔っちゃったら迎えに来てね♪」
「…弱いんだから飲みすぎるなよ。気を付けるように…」
・・・
夕飯を久しぶりに一人で食べた。
少し寂しいな…
…しかし…昔からだけど本当に料理旨いよな…外食する気が失せるくらい。
…本当大したもんだ。手間もかかるだろうに…沙優に感謝だな。
・・・
「ん~ちょっと遅いな…大丈夫か?沙優の奴…駅まで迎えに行くかな?…」
プルルルル~ 吉田のスマホが鳴った。
「もしもし沙優、大丈夫か?」
「ダ~~~リン♪
今仙台駅のホームなんだけど…歩けないのぅ♪
迎えに来てぇ♪」
「おう。分かった。危ないから良い子で待ってろよ!」
「は~~~い♡」
ったく…随分ハイテンションだ…相当酔ってるな…ダーリンって…
・・・
吉田は仙台駅のホームに着いた。
「大丈夫か?沙優」
「あ~~~、吉田さ~~~ん♡だーーーい好き♡」
「立てるか?」
「ごめ~~~ん。おんぶしてぇ~~~♪」
「…仕方ないな…よっこらしょ!」
「あははは……よっこらしょって…おじさんだね~♪
でもそう言う所も好き~~~♡」
「吉田さん♪吉田さん♪
吉田さんの匂い…だーーーい好き♡」
沙優が体全体をくねくねさせる。
そのたびに沙優の豊満な胸の膨らみが俺の背中を刺激し、
俺は少し前のめりになる。
き、気持ちいいけど…体勢が辛い…
・・・
やっと家に着いた…
「ほら、水を飲め。」
「ありがとう♪」
「飲みすぎだ」
「ごめんね~~~…嫌いになっちゃった?…」
「ならないけどさ。心配しているんだよ。危ないだろ?」
「ごめんなさい~~~」
沙優はしくしく泣き始めた。
…こいつ泣き上戸か!?…
「ったく…分かった。分かった。」
沙優は少し涙を含みながらとろ~んとした目で
「吉田さん…私がどれだけ吉田さんの事好きか…分かる?」
俺は少しドキッとしつつも
「ああ、分かるよ。」
と答えた。
「分かってないよぅ!」
急に沙優はほっぺを膨らませて怒り出す。
「そんな事ないぞ?」
「この間も女の子と楽しそうに電話しちゃってさ!(ぷんぷん)」
「まだ…根に持ってるのか?(苦笑)」
「結婚を約束した女の子の前で他の女の人と楽しそうに喋ったら…
ダメ…なんだからね…」
沙優は少し頬を赤らめて拗ねた。
「そうだな…悪かったな。沙優。沙優が一番好きだよ。」
「本当?」
「本当だよ。嘘なんかつくわけないだろう?」
「…嬉しい…」
そう言って、息づかいを粗くしながら沙優は舌を絡めて俺に激しいキスをしてきた。
「ん…んっ…」
「沙…優…」
沙優は顔を赤らめつつ、切ない目をして
「2年前…北海道の実家の最後の夜を思い出しちゃった…
もう…私…大人だよ?…」
「…ああ…」
「はぁ…はぁ…吉田さん…私…身体がキュンキュンするの…
切ない…切ないよ~…吉田さん…抱きしめて…」
俺は胸の高鳴りを感じながら沙優を強く抱きしめ
「沙…優…沙優!沙優!!」
今度は俺から舌を絡めてキスをして、あの時を思い出しながら
あの時は出来なかった身体の重なりを吉田の想いを沙優にぶつけながら、
沙優を激しく求めた。
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