3章 新天地での甘い生活

第28話 甘い同棲生活の始まり

吉田と沙優は新天地、仙台のマンションに到着した。


2年前と同じ同棲生活…

でもあの時は、保護者と子供の関係の意味合いが強かった。

同棲というよりはむしろ同居生活。

でも今は…結婚を前提にした恋人同士。


玄関前で

「えっと…その…今日から、よ、宜しくお願いします。」

「…おう…」

吉田は恥ずかしそうにぶっきらぼうに答えた。


二人は手を繋ぎ一緒に玄関をくぐった。


以前の吉田のアパートは1DK、新居は2LDKそこまで極端に広いわけではないが、

まだ引っ越し業者は来ていないので荷物がなく余計に広く感じる。

又、階層は9階、仙台の街並みが一望できる高さで景色も良かった。


「わ~~~広いね♪

 奇麗だね~♪

 これからの生活を考えるとワクワクするね♪」

子供のようにはしゃぐ沙優を嬉しそうに眺めた。


吉田の家にはそもそも必要最低限なものしかなかったので、ほとんどの荷物を処分してきた。決して多くはない衣服類、書物類、ノートパソコン、簡単な食器類、生活家電(髭剃り含む)

そして…以前の同棲時に沙優のために買った布団一式のみである。


「沙優の荷物はどのくらいあるんだ?」

「んーと、私もあんまりないよ。

 衣服類と書物類、お気に入りの食器類、ドライヤー、化粧品と…大事なもの。

 後、必要なものはこれから買い揃えば良いと思うし。」


ん?大事なもの??と思いつつ俺は軽く流した。


「とりあえず、冷蔵庫と洗濯機、電子レンジ、ガスコンロ、エアコンは午後に届くよ。後、何買うかな?…日用品は別として…TVとソファーも買うか?」


「TVはいらないかな…

 ソファーは、私が独り暮らしの時に買ったソファークッションがあるよ?

 それで良いんじゃない?節約もしないと。」


「TVは本当に良いのか?」

「うん。スマホもあるし…

 それに…TVよりも…吉田さんといっぱい会話したいもん♪」


・・・


午後になり、吉田の引っ越し業者、沙優の引っ越し業者、それから家電製品が届いた。広かった部屋はあっという間に大混雑。


「本格的な荷解きは明日にして、今日は疲れたから外食して休むか?」

「うん♪ごめんね。明日からちゃんと作るから♪」

「無理するなよ。別に。」

「ううん。吉田さんに作ってあげたいの♪」


・・・


近くのファミレスで軽く食事をして再び家に帰ってきた。


急に沙優は少し頬を赤らめながら

「あ…でも絶対に欲しいものがあるの…」

「何だ?」

「ダブルベッド♪一番大事でしょ?」

沙優は小悪魔的な笑顔で答えた。


俺は顔が熱くなるのを感じた。


「あ・と・ね。

 私の荷物の中身で大事なものって言ったんだけど…何だと思う?」

「ん?い、いや…分からない。」


「吉田さんが…喜ぶ物だよ?」

「んん!?」

いくら考えても分からない。


「んじゃ、それだけ段ボールから出しちゃおうかな♪」

「吉田さん、そこの段ボールを開けてみて♪」


吉田は段ボールを開けると顔を真っ赤にした。


「せ・い・ふ・く…だよ♪

 高校の学生服、体操服、スクール水着…

 それから学園祭の時に着たウエイトレスの制服…

 吉田さん…嬉しいでしょ?♡」


固まっている吉田を尻目に…


 「今日から使っちゃう?♡」




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る