第15話 新たな旅立ちに向けて・・・ 沙優回想 その2

「バイトさせて下さい!」

「いいぞ。こんな所にずっと閉じこもってたら頭おかしくなるだろ?

 同年代の友達できると良いな!」


うん…ありがとう…吉田さんは私の主張をいつも肯定してくれる…本当に嬉しい♪

バイトの先輩のあさみ…本当に良い子。

でもちょっと吉田さんとの関係疑われている?…

それに私に秘密がある事も…何となく感づいてる?

どうしよう?吉田さんに迷惑かけちゃう…

あ、でも…余計な詮索してくれない…優しい子


・・・


後藤さんが…私に会いたい?何で?…

ちょっと怖いけど…私も会ってみたい…


この人が…吉田さんの憧れの人…大好きな人…後藤さん…

奇麗…すっごい色気…吉田さんが惚れるのも頷ける…

おっぱいが…大きい…これは凄い!!何カップだろう??

吉田さん…何がFカップだよ。Hカップ?いや…もっともっと大きいよ!


「いつまでここにいるつもり?」

はっきり聞いてくれた…考えなくちゃいけない…


未来?そうか…逃げてばかりじゃ駄目だよね…

「吉田君には…甘えて良いんだよ」


抱きしめてくれた…吉田さんを貸してくれた…

優しい…なんて優しい人なんだろう…

でもこの人は吉田さんが好きなのかな?


「吉田さんの事好きなんですか?」

「誰にとって大事なの?」

「私にとっても、吉田さんにとってもです。」

「好きよ♪嫉妬しちゃう?」


こういう所は苦手…大人の余裕?

優しいけど…嫉妬しちゃう…

嫉妬?吉田さんが取られちゃうって??

私は…吉田さんが幸せになってくれれば良いと…

でもこのモヤモヤは何だろう???


・・・


矢口?

あっ…ああ…以前身体を代償に泊めてくれた人…

気づかないで…気づかないで…


「あれ?久しぶり、ここじゃなんだから家に連れて行ってよ。

 連れて行ってくれたら黙っててあげる。」


どうしよう…どうしよう…絶対に吉田さんに迷惑かけられない!!


何もしないって言ったのに…嘘つき!もう…好きにすれば良い…

あれ?どうしたんだろう?

以前は何でもなくできたのに…怖い…怖いよ…吉田さん!吉田さん!


「沙優!!こいつ追い出すぞ!!」


吉田さんが助けてくれた…でも迷惑かけちゃった…ごめんなさい…


「頼むから自分を責めないでくれ!

 そんなんじゃ…お前を救えないだろう!!」

「この生活がもうお前の為なのか俺自身の為なのか

 俺はもう分からなくなってるけど…

 俺は…お前に普通の女子高生になってほしい!!

 それができてないお前をみるのが…たまらなく辛いんだ!!」


何処に行っても誰も助けてくれないと思っていた…

けど…吉田さんは初めて私を助けてくれた…

…私…吉田さんにとって何でもないのに…

吉田さん!吉田さん!私…頑張るよ!


・・・


あさみ…小説家になりたいんだ…

良い所教えてくれた。

「星空から見たら私たちはちっぽけだけど…1つ1つに歴史がある…

 歩いてきたんだからさ…きっと帰れるよ!」

優しい…あさみ…私の歴史を肯定してくれている…ありがとう…

私も未来を考えなくちゃ…自分の為にも…吉田さんの為にも!


・・・


夏祭り…吉田さんと一緒♪

浴衣レンタルしちゃった。似合うかな?

全然見てくれない。もう~うなじとか奇麗じゃない?


「吉田さん浴衣見てよ!どう?」

「…き、奇麗だ…」


え?吉田さんが見惚れてる?う、嬉しい♪

後藤さんよりも…奇麗?…そう感じて貰えたら…嬉しいな…


綿あめ買って貰っちゃった♪

甘い…すぐ溶けちゃう…お祭り楽しい…

全部吉田さんがいなかったら分からなかったな…


子供がぶつかって転んじゃう!

あっ…吉田さんが手を握ってくれた

暖かい…このままずっと手を握ってたいな…

「迷子になっちゃうから…丁度良いね♪」

そのまま手を握ってくれた…吉田さん…嬉しい…


花火きれい…本当に来て良かった…ありがとう。吉田さん。

「吉田さん、ゴミ捨ててくるね」


・・・


「沙優!沙優~!」

え?どうしたの???吉田さん…


「吉田さん…私が居なくなったと思ったの?

 私が居なくなると…そんなに焦っちゃうんだ?」

いじわる言っちゃった。


「お前が居なくなったと思って…マジで焦った…」

え?…ごめん。そんなに私がいないと…不安なの?なんて…そんなわけないよね…


「なあ…お前…本当に…帰っちゃうのか?…

 い、今のなし」


え?…吉田さん…どうしたの?


「何であんなこと言ったの?吉田さんは…私に帰って欲しくないの?」


何でそんな辛そうな…切ない目をするの?

私だって…私だって…吉田さんと離れたくない!

吉田さんが帰るなって言ってくれれば…私は…私は…


「やっぱ…帰るべきだ…」


…うん…吉田さんは…そう言ってくれると思った。

私を甘やかさず、正しく導く…


…最近思う…私は一目見た時から…吉田さんを…

吉田さんはどうなんだろうか?

…私が居なくなると寂しいって思ってくれてるの?


・・・


兄さんに…見つかった。

自分の気持ちに整理が着いたら自分のペースで帰れると何処か期待していたけど…

現実は甘くないよね…

1週間…時間をくれた…ありがとう。兄さん…

この1週間で覚悟を決めるよ…吉田さんとの事にも…


・・・


「この最悪な逃避行の最後で吉田さんに出会えたよ!

 吉田さんに出会えたというただそれだけを…私は持って帰るよ。

 だから…応援してよ!」

吉田さんが泣いてくれている…勿論だと言ってくれた…ありがとう…私も辛い…


多分家に帰るのが辛いだけじゃなく…吉田さんと離れるのが辛いんだ…

私…吉田さんの事が大好きになっちゃったから…

吉田さんも…少しはそう思ってくれているのかな?…


「最高の宿だった」

「じゃあ最高の宿から最後のアフターサービスだ。

 俺も北海道についてって、お前のかーちゃんに会ってやるよ」

嬉しい♪嬉しい♪ありがとう。ありがとう。

本当は不安だったの!吉田さん!大好きだよ!


・・・


網がある…

何であの時この網がなかったんだろう?


「私が間違っていたんだ…一緒に戦う事が正しいことだと…

 結子を追い詰めたのは…私なんだ…

 私の事を想っていてくれたのならば…私と一緒に…生きて欲しかった!!」


「お互いに想いあった結果なんだ

 取り返しのつかない結果になったが、仕方がなかった。

 もう終わったことなんだ。

 沙優が自分のことを許してやらなきゃ、一生ここから動けないんだよ」


分かっているけど…辛すぎる!辛すぎるよ!!

吉田さん!吉田さん!もっともっと抱きしめて!!

「うあぁ~~~~~」


・・・


ありがとう。吉田さん。

やっぱり吉田さんが北海道についてくれてよかった。

私一人だったら…どうなっていたか…

まだ全然乗り越えられていないけど…覚悟はできたよ!!


・・・


バシっ!「どれだけ迷惑かけたと思ってるの!」

「こんなどこの馬の骨とも分からない男連れてきて!」

「あんたなんか産むんじゃなかった!」


ああ…何も通用しない…何も聞く気がない…

自分に原因があるとは、まるで思ってない…

せっかく吉田さんがついてきてくれたのに…


「沙優の親はあなたしかいないんだ。

 自分には資格がないので沙優が一人立ちできるまで育ててやってください。」

え?吉田さんが…土下座してくれている…

何で??私のために…


・・・


「沙優…俺…お前がここまで過酷な状況だって思ってなかったよ…

 ごめんな…」

吉田さんが…泣いてくれている…私のために!

泣かないで!泣かないで!私は大丈夫だから…これ以上泣かないで!


・・・


高校卒業まで実家にいることを認めて貰えた…

吉田さんのおかげ…

吉田さんが明日帰っちゃう…寂しい…辛い…

吉田さん…愛おしい…愛おしい…

身体がキュンキュンする…とっても…切ないの…


「最後だからさ…あの…さ…その…一回くらいエッチしとく?

…その…お互いに忘れないように…思い出を刻むというか…」


「家族でもないのに半年もいたんだ…そんなことしなくても…多分一生忘れない!」


うん。うん。私も絶対に忘れない…


・・・


飛行機が出ちゃう…

想い出の制服で見送り…忘れて欲しくないから…

あの時のやり取りは一生忘れない…


「私…吉田さんが好き!本気だよ!」

「お前は可愛い。でもそういう目で見る事はできない!」

「じゃあさ、ガキじゃなかったらワンチャンある?」

「良い大人になったら…ワンチャンあるかもな」

「じゃあ待ってて!」

「待たねーよ。お前を待ってたら俺はおっさん通り越してじじいになっちまう

 俺との出会いは思い出としてしまっておいてくれよ」

「そんなの無理だよ。こんな大きな思い出…しまえるわけがないよ!!

 吉田さんが待たなくても…絶対に会いに行く!!」

「…わかった…」


約束してくれた…一方的な約束だったけど…わかってくれた!!!

絶対に忘れない!!絶対に会いに行く!!

何年経とうと…大人になって!!

例え吉田さんが待ってなくても…この想いは絶対に!!


この頃はもう…心の中が100%どころか…1000%吉田さんになっている…

あれ?私…いつから100%になったんだろう?

いつから吉田さんの事を考えてるんだろう?

…そう…だ…確かに徐々に吉田さんの存在は私の中で大きくなっていった…

でも私は最初から…出会った最初から…あの目を見て…

私は無意識に…一目惚れしたんだ…

ああ、そうか!吉田さんは…私の運命の人だったんだ!


沙優の瞳から涙が零れた。

あさみはびっくりして

「沙優チャソどうしたの?」

「ごめん。あさみ!…私…行かなくちゃ…」

「え?」

「ずっとずっと望んでいたんだ…夢が叶ったんだ!!

 私…吉田さんの元に…行かなくちゃ!!!

 最愛の人の元に…急いで行かなくちゃ!!!」

沙優は足早に出て行った。


「分かってはいたけど…沙優チャソも吉田っちにべた惚れじゃん♪」

あさみは笑ってバイバイした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る