エピローグ〜 -Eternity-
「…いや〜!!!だから勝てんっ!!」
「…傑が弱いからでしょ?」
「…く、くそっ!も、もう1回!!次は…勝つ!!」
テーブルには、53枚のトランプが無造作に散りばめられていた。
「傑、負けたから、シャッフルしてねぇ!」
「愛~!手加減してくれよっ~!」
俺はトランプを手に取り、シャカシャカと混ぜ合わせていったんだけれど…
「…お前それ、ちゃんとカード混ざってるのか…?」
「…はぁっ?!じゃ、じゃあっ!雄介も混ぜて!!」
雄介に混ざってないと言われ、雄介にトランプを渡してみると、スラスラーっと手馴れたカード捌きで混ぜ合わせて見せてくれたんだ。
「え〜っ!ならなら〜!私も混ぜる…!」と雄介からトランプを奪い取る紬に…
「…つ、紬ちゃんは…や、やめた方が…」
と…結斗が止め…
ばっしゃ〜〜んっ!!!!
あははっ…間に合わなかったようだ…
紬は手を滑らせて、カードがあちらこちらにぶっ飛んでいく…
「ははっ!紬は、ほんとに持ってるよな!」
「…ぶぅっ!!傑に言われくない!」
「え〜っ!俺っ?!」
「ははっ、傑ならやりそう!」
「もうっ!翼まで!!!」
そう…俺らは、今でもこの6人との繋がりを、大切にしていたんだ。
みんな結婚もしたし、それぞれの家庭を築いていて、その中でも俺たちは、時間が合えばみんなで集まって、楽しい時間を過ごしていた。
jubeatの熱は、歳を重ねてからどんどんと下がっていき、たま〜にやる程度になったけれど、今となっては
「…俺の勝ちぃ♪」
「まじか、また傑に負けたよ…」
翼にも勝った、負けたを言い合えるまで、俺のjubeatの実力も磨かれていたのは確かだ。
いまでもjubeatを見る度に…to beatに出会わなければ…俺の人生は、どうなっていたのかな…?本当に…沢山、お世話になったよな…
色んな思いが俺の心に押し寄せてくるんだ…
そして、付き合い始めて丸10年が経ち…
「…傑?これからも…俺のそばにいてくれる…?」
「…も、もちろんじゃん…!今もこれからも…ずっと好きだし、そばにいたい…///」
「…じゃあ…」と翼は俺に、ある物を差し出してきたんだ…。
「…翼…う、嘘だよね……?!」
「…嘘なんかじゃない…これからも…美味しいご飯を作って欲しいし、一緒に旅行に行ったり、じゃれあったり…おじいさんになっても俺のそばにいてほしい…傑…?俺と結婚しよう…?」
俺はその日…翼から結婚指輪を貰ったんだ…
同性婚が法的に認められていないとしても''パートナーシップ制度''が俺らの町では導入されていた。
少しずつかもしれないけど…何かが変わってきているんだと心から感じる…
「…っ!…も、もちろんです…翼…ぁりが…」
泣く間も与えられず、俺はギュッと翼に抱きしめられて…
「…これから、パートナーシップ…結びに行くからね?」
「…は、はぃっ…ありがどぅ……」
そう…俺たちは、丸10年の歳月を経て、法的ではない事実上の家族になった瞬間だったんだ…
◇ ◇
カードが…みんなに配られて…
「よぉ〜っし…!ぜってぇ負けねぇぞ!!」
「…傑?落ち着きなさい」
ゲームが展開されていき…ゲームも終盤!
俺と翼の一騎打ちになったんだ…
(…お?!…俺、これ勝てるぞっ?!!)
俺は、スペードのエースだけを持っていて…
翼のカードは残り2枚…しめしめ、これを出せば…翼に勝てるんだ…!と、すぐに顔に出てしまう俺…
「…ねぇ…傑?俺に勝てると思ってる?」
その言葉と一緒に、翼が出したカードは…
ハートの11…
「Eleven Backね?」
(はぁ?!イレブン…バックだとおぉ?!)
「あああっ〜!!!泣」
「…はは!やっぱり傑には、負けないよ?」
いつまで経っても、やっぱりこの人には勝てない…いや、それでいいのかもな…?
だってこの人は、俺の憧れの人で大切な人…
ずっとこれからも、そばに居たい人…
(…Eleven Back…か…)
俺らは、これからも未来に向かって手を取り合いながら、一緒に歩幅を合わせて歩いていく…10年、20年…その先もずっとずっと…
そんな、俺たちの11年前のお話だったんだ。
《完》
Eleven Back ー君はもう、独りなんかじゃないー 翔(カケル) @kuuramu
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