-Winter 後編-タイムリミット、温もり、本当の気持ち-8
少し落ち着いてから俺は、彼としっかりお別れをする事を翼さんに約束したんだ。
そして会話も終わりを迎える頃…
「…傑くん?明日、仕事が終わったら…俺を職場まで迎えに来てくれないかなっ?」
翼さんの職場が、どこかだって知らないわけが無い。
だって毎日通っていたし、その度に翼さんの事を考えていたんだから…
「…はい、行きます…ちゃんと会いたいです…!」
「…ほんとにありがとう…また明日、会おう…愛ちゃんに…ちゃんと感謝してくれよ?」
「…はい…こちらこそ、ありがとうございます…また明日…おやすみなさい…」
プープー…
電話が終わったあと…俺は全ての思いが、身体からどっさりと落ちたようにその場でまた、わんわんと泣きじゃくっていた…
そんな俺を、愛はそっと抱きしめてくて
「…よく頑張ったね…ほんとに良かった…あんたは弱くなんかない…あたしもきっと…同じ立場なら…タイムリミットなんて、言えなかったよ…?」
愛も涙を流しながら、俺に温もりをくれたんだ…
「…あぁっ…愛ぃ…ひくっ…うわあぁっ…ほ、ほん、ほんどに…あ、りが…どぉ…」
「…翼さんと幸せになってね…?…ずっとあたし達は、2人の味方だからねっ…?」
愛がいなければ…俺らの気持ちは、どこかで絡まったままだった…
愛が…俺たちの恋を導いてくれたんだ…愛…ほんとにありがとう…俺、いや俺ら…絶対に、幸せになるから…!
そのまま俺は…愛の温もりの中で、涙を延々と流し続けていったんだ…
◇ ◇
「…愛、本当にありがとう…」
「…も、もういいから!まず、頑張ってきて…」
「…うん、ちゃんと伝えてくる…」
俺は、その言葉を残して、彼の元へ向かっていったんだ…そう、彼にちゃんと、さよならを伝えに行く為に…
彼にメールをし、2人で初めて会った待ち合わせの場所に、俺は向かっていった。
着く頃には、彼もそこに…姿を現してくれて…俺は、思いの丈を彼にぶつけたんだ…
「急に呼び出したのにごめん…あの後ずっと、色々考えたんだ…俺は…タイムリミットに縛られることなく……ただ普通に幸せになりたい…」
「それが…普通の恋ではなく、結婚なんか出来なくても…ずっとそばに居てくれる男性のそばに居たい…そんな一生を共に出来る人を、俺はやっと見つけることが出来たんのかもしれません…」
「…だからあなたも…この後、結婚しても幸せでいてください……こんな身勝手で本当にごめんなさい…俺と、別れてください…」
俺はそう…彼にしっかりと気持ちを伝えられたんだ…俺の思いに彼は、涙を流してくれたけど…
「…傑の気持ちに最後までは答えてあげられなくてすまない…傑が謝る事なんて何1つないんだ…ちゃんと、答えを見つけ出してくれてありがとう…」
「お互い…これからはら幸せな道をしっかりと過ごしていこう…」
彼も俺に素直な気持ちを伝えてくれて…
俺たちは、笑顔で握手を交わして…ひと時の関係に終止符を打つことにしたんだ…
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