-Autumn- 大会、傷、優しさ-4
《みんな、ごめん…大会出れなくなっちゃった…》
俺の連絡にみんなは、直ぐ返事を返してくれて、涙ながらに事の経緯をメールで伝えて言ったんだ…
《大丈夫なのか?!》とか
《安静にしないとだね…!》とか
《治ったらまたjubeat行こうね?》とか…
みんなの優しさが、すごく嬉しかった…なのに、逆に辛くなったのは、なんでなんだろう…
やっと前を向いて自分らしく歩めていたと思っていたのに…嬉しさと悲しみが…俺の心の中でぐちゃぐちゃと絡み合っていたのかもしれない…
◇ ◇
-3日後
不思議と目の痛みは無くなっていた。
左右上下に目を振ると、まだダブって見えるけれど、真正面の焦点は元に戻っていたんだ。
痛み止めが効いていたのかもしれないけれど…その分、先生から目と鼻の血が抜けきる為に、口から落ちてきますと言われていて、俺は毎日、血を吐き出していたんだ。
(うわぁ…初めて吐血したよ、こわぁ…!)
少しずつ気持ちは、落ち着きを見せていたのか、徐々に吐血しても驚かなくなっていて…
なってしまったことは仕方ない…
後ろ向いてても、何も始まらない…
今出来ることを…やるしかない!
そう思った俺は、徐に携帯を取り出してjubeatの譜面動画を検索した。
jubeatへの熱は全く下がっていなかったし、出来ないなら出来ないなりにイメトレをすればいいんだ!
動画を探していたその時に…ふと、翼さんのことが頭に過って…翼さん、いつもこうやって研究してたのかな…?
仕事でなかなか来れなくて、俺らよりもjubeatに触れる回数は、あきらかに少なかったはずなのに、その分しっかりと研究をして、その度に自分のものにしていって…
本当に…憧れの人は凄いな…全く頭が上がらないよ…
そんなことを思いながら、きっとまた、jubeatが出来ると信じて、俺は出来る限りで研究を続けて行ったんだ…
◇ ◇
-4日後
もう目の痛みはなくて、前方の焦点も合っている。
このまま、手術なんてしなくてもいいんじゃないのかな…でも吐血は相変わらず続いていたし、左目を触ることは絶対出来ない。
だって触れたら痛いから…触れなきゃ痛くないだけ…
ただ身体は元気で、動くことには動けるし、家事も出来たし、ご飯も実家で作れた。
ここまで出来るなら、そうだ…そろそろ1回…自宅に帰ろう…俺は、両親に話を着けて帰る支度をした。
「兄ちゃん…大丈夫なの…?」と心配してくる将に「ああ、大丈夫!」とニコッと返してみたんだけど…
左目はちゃんと閉じていなかったんだ…
◇ ◇
そのまま俺は、自宅まで母さんに送って貰った。
久しぶりの自宅は、何一つ変わってなくて…変わっていたのは、ポストにたんまりと手紙が届いていたことぐらいかな?
やっぱり…我が家が1番いいよな…
家に入って「…スゥーーッ!ハァーッ…」と深呼吸をして…「…ただいま」そう一言…誰もいない空間に俺は、呟いてみたんだ。
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