-Autumn- 大会、傷、優しさ-1

 気付けばもうすぐ秋

 陽も少しずつ短くなってきていた…この時期は、どことなく少し寂しい気持ちになるな…そんな事を思いながらも、俺らの生活はな〜んにひとつも変わっていなかった。


 軍のみんなや紬に連絡を取れば普通に集まるし、jubeatもみんな、どんどん上達していくし…


 この間なんかは、愛と紬と結斗の4人でお好み焼きを食べに行った時に、結斗に俺がであること告白してみたんだけど…


「大丈夫、なんとな〜くそうなのかな?って思ってたよ?…僕は女の子が好きだけど…え、ゲイだとなにか悪い事でもあるのかなっ?」


 高校生の結斗には、既に察しられていて、尚且つ?と問われて…

 か、返す言葉が見つからなくて、とりあえず自分の思いだけは、ぶつけておいたんだ。


「あはは…でも、まだまだ周りには、簡単に言えないもんなんだよな…」


「そうなんだ…でも、きっとこの後、もっと良くなっていく…僕は、そんな気がするよっ!あと僕は、応援したいってのもあるんだけどな〜!」


 あ〜っ…この子には、ほんとに敵わない…ほんとに、高校生なの?!

 でも、素直に嬉しかったな…嬉しい気持ちに嘘偽りなんか、どこにもなかった。

 だってまた1人、理解者が増えた…それだけで俺は、幸せだったんだ…


 …あとは翼さん…だけか…


 ◇ ◇


 -ある日


 仕事の休憩中、いつも通りタバコをふかし、雄介からのメールに目が止まったんだけれど…メールの内容に俺は思わず、声が出てしまった。


《拠点で、とうとうjubeatの大会やるってさ!これは行かないと!!みんなもきっと来るだろうよっ!!》


 jubeatでスコアを競い合う大会が、聖地で開かれていたのは、俺も知っていたけれど、まさか自分の拠点で、大会が開かれることになるなんて…!!


 正直、夢のような話だったんだ…!自分の実力を、自分の拠点で試せる滅多にないチャンス…!これは絶対に参加したかった!


 雄介に、絶対行くからっ!雄介も絶対行こう!と返信をし、俺の気持ちは、一気に昂っていったんだ。


 その後、翼さんや愛からも雄介と同じように連絡が来て、紬や結斗も遠征がてら大会に参加すると言ってくれて、みんなで俺らの拠点での大会を心待ちにしていたんだ。


 -大会まで2週間


 楽しみだなぁ~♪とりあえず、勝つとかよりも大会に参加出来るだけで楽しみだなぁ~♪


 毎日、ルンルンで仕事をこなして行く俺。

 職場の人からも「傑くん、何かいい事でもあったの?」なんて言われるぐらい、俺の顔は綻んでいたらしい…


 だってさ、成人式でjubeatに出会っていなかったら、味わうことの出来なかった【喜び】や【楽しみ】そして理解をしてくれる【仲間】との出会いがなかったわけだし…そりゃ、嬉しいに決まってるよっ!


 何もかもが上手くいっていた、そんな気がしたのにさ…



 ……


 す…


 すぐ…


「…傑!?大丈夫?!!」

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