The ''jubeat'' friends-2
-仕事帰り
今日は、雄介に初めて会う日だ。
車通勤だった俺は、待ち合わせの場所に雄介を迎えに行くことになっていて、やっぱり何歳になっても、初めましてって…どうも緊張するよなっ…と、そんな事を思いながら俺は、待ち合わせの場所へと向かっていったんだ。
(……あっ…あの人かなっ…?)
俺らが待ち合わせたのは、小さな市場の横にある自動販売機で、そこに男の子が1人ポツンと立っていた。
凄いよな、これで場所が伝わるほど小さな町だったって事だよな…。
市場の駐車場に車を停めて、俺は雄介らしき人に近づいていき恐る恐る…
「…あ、あの…」
「あっ!もしかして傑くん?!」
連絡を取りあっていた通り、明るくて微笑みが柔らかい、そして何より絡みやすい!…でも、うん、申し訳ないけど俺のタイプとは違った。
いやいやっ!問題はそこではないだろ!と1人ツッコミを心の中で入れる俺もいて…
でも見返してみても、めっちゃ顔は整っていて女性には、絶対モテるタイプだな…というのが率直な感想だったんだ。
「…傑です!寒いのに待たせてごめんなさい!」
「大丈夫!俺も今、来たばっかだし!てか同い年だもん、敬語いらないよっ?」
俺たちが出会った2月は、雪がまだまだたっぷりと辺りを覆いつくしており、話す俺らの口からも、白い息がホロホロと零れ落ちる…
そして何より、ブルブルと身震いをしてしまうほどに寒い…
「…はい!これ、あげるよ!…車出してもらってごめんね?飲みながら行こっ!」
とそっと俺に温かいコーヒーをくれる雄介。
「…ええっ!そんな、気使わなくてもいいのに…でも…温かいなっ…♪」
なんて言いながらも、雄介の優しさと温もりをそのまま、頂くことにしたんだ。
「…雄介、寒いから車に行こっ!」
「そうだな!お邪魔させてもらうよ♪」
寒さの我慢が来た俺たちは、車に乗り込み俺は、ゲーセンへと向かって車を走り出させたんだ。
◇ ◇
ゲーセンに向かう間は、自己紹介がてらお互いの話で花が咲いていた。
雄介は、大学に通いながら、バイトでアイス屋さんで働いてるんだとか!
この顔で、しかも笑顔でアイスなんか渡されたら…女子も……いかんいかんっ!また変なこと考えた!!でもずるいよなっ…!
俺も福祉系の仕事をしている事を雄介に伝え、利用者さんの送迎を毎日していることも伝えてあげたんだ。
「ははっ、傑は優しいから、その仕事がきっと天職なんだねっ!」
「お、おぅ…って、照れるな…っ、でもこの仕事、ほんとに大好きなんだ…っ!」
初めて会ったはずなのに、今までにない初めての感覚だ…全ての言動に嫌味もなく、憎めないし…純粋で何でも話せる…なんだこれ、雄介に初めて会った感じがしない…
ん?!ってかいつの間にか君、なくなってねぇか!?…そのまま、俺たちの距離はどんどん縮まっていったんだ。
「ゆ、雄介だって、アイス……ん、?俺、何言えばいいの…っ??」
「ははっ!大丈夫っ!俺は、甘いものが好きでアイス屋にいるだけ!」
「こ、今度買いに行くからっ…!」
アイス屋さんって、かっこいいなっ!
うーん…なんか違う気がしたんだよなぁ…
でも、アイスを買いに行くと俺が言った時「おう!待ってるね♪」と嬉しそうに答えてくれた雄介の笑顔は、今でも忘れられないんだ。
◇ ◇
ゲーセンに着いた俺たちは、早速、jubeatに足を運び、お互い
jubeatは、ゲーセンにもよるけれど、2台、3台とゲーセンで台数が揃えば、オンラインで繋がり、同じ曲を同じタイミングで行う事が出来、最大で4人まで繋げる事が出来るんだ。
「準備OK〜っ!」
「俺も大丈夫だよっ!傑から好きな曲選びなっ?」
100円で4曲出来るので、お互い2曲ずつ好きな曲を投げ合う。
まだやった事のない曲や、ちょっと難しい曲まで、2人で楽しみながら光るパネルを叩いていく…
「…うそぉっ!!雄介、うまっ!!」
「…おお!俺の勝ちか!!」
お互いのトータルスコアが画面に映し出され、俺は雄介に負けていた、いやほぼ完敗だった…
くそっ、めっちゃ悔しい…っ!!また、こいつまで…俺に火をつけやがったな…っ!
「ははっ!そんなしょげんなって!」
「悔しい…次は、絶対負けないっ…!!」
「俺だって、傑に追いつかれないように練習するさ!」
「くそぉ…っ!絶対、絶対に抜かしてやるからなっ!!」
この時から雄介は、俺の良きライバルになった…いや、勝手にライバルにしていたんだ。目指すひとつの目標として…っ!
自分のプレイが終わったら次の人に交代する。連コイン(後ろに人がいるのにそのままプレイする)これは掟破りのルール違反。
常識に思えるけれど、結構守れない人がいたんだよなぁ…
プレイも終わり俺と雄介は、その場から立ち去ろうとしたその時…
「…あの、これ…忘れてますよ?」
不意に肩をとんとんと叩かれ、振り返る俺…俺よりも10センチくらい、背が低い男性と目が合った瞬間…
俺にニコッと微笑みかけながら、筐体の横に忘れていたマフラーを俺に渡してくれた。
えっ…か、かっこいい……これが彼に対して俺が向けた、第一印象だったんだ…。
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