第3話 諦めるしかない

 咳もさることながら、結核が気になるところだが、私はもう諦めてた。

 何がどうなろうとなるまいと、結核なら、有無を言わさず即、隔離。これはどうしようもない。

 だから、もう、諦めるしかない。もう、あれこれ考えるのは止めよう。それなら、少しは治まってほしい、この咳。

 そんな私の思いもどこへやら、看護師は3日目なのに、排便が無いことをさも深刻そうに言って来る。


 「私は環境が変わると便秘すんの」


 と言ってあるのに、腹は張ってないか、マグネシウム持って来ようかと聞いて来る。こっちは、のべつ幕なしの咳に悩まされてる言うのに。そんな3日ほどの便が何だって言うのだろう。

 それにしては、病院食の野菜の少ないこと。1日350グラムの野菜を取れとか言っているくせに、これでは家の食事の方がまだ多く野菜を食べている。それでも、350グラムは食べてるとは言えない。それにしても、どうすれば1日350グラムの野菜が食べられるのだろう。カレー作ったって、ジャガイモは野菜ではないし、では、ジャガイモは止めて、きのこ類を入れろとか、とにかく野菜350グラム摂取できる模範メニューを365日分作ってほしい。いや、それくらいやるべきである。何しろ、国民の健康と医療費削減のためなのだから、出来ない筈はない。それを只の掛声だけで終わらせているとは…。

 看護師にしたところで、350グラムは食べられない、食べてないと言う。ベジタリアンでもない限り、無理なことをどうして国民に様な事をするのだろう。あくまで理想だろうけど、これこそではないか。


 だから、足りないところはサプリメントで補えと言うのか。だが、このサプリメント、ものすごく儲かると言う。薬ですら、原材料費は1割程度。これがサプリメントともなれば、さらに、各段に安くなる。

 これでいいのだろうか。

 それならば、咳の特効薬を作ってほしい。昼と言わず、夜と言わず、身がよじれそうなくらい、辛い咳の特効薬を。

 簡単に作れる薬にばかりに力を入れてんじゃないのっ。


 結核は受け入れられても、咳はつらいのよ…。

  






 

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