熟知

「知ってんのよ。私。

あなたが、小学生時代、出来過ぎくんだったってこと。噂で聞いて知ってんの」


「え」


「今、手を抜いてこんな最底辺のFクラスにいるんでしょ?ほんとは勉強できんのにわざと

こんな出来損ないのクラスにいるんでしょ。

大きな声じゃ言えないけど」


「近い近いっっ…!」


この女。見た目ビッチなせいか、距離感がやたらおかしかった。敢えて距離を取ったはずなのに、またしても近付いてきて、めっちゃ至近距離で話しかけてきた。


「耳元で話さないと!だって大きな声じゃ言えないことだし?」


「ううっ…」


「シンジっ。寄るな俺に。

気持ち悪いだろっ」


「いやだって。春川さんが、近づいてきて、その、、、!」


「勉強教えてほしい。

それがニセコイ役をやってあげる絶対条件よ。私ね、このままじゃ単位落として留年しそうだから、放課後、ちょこちょこっと、

図書館か、教室で勉強教えてくれたら、それでいい。あ、勿論、誰にも邪魔されないように、マンツーマンでね?」

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