携番

手の主は直ぐにわかった。

白くて透き通る指。


「あのー、氷室さん。

俺、早く家に帰りたいですけどね...」


「あ、ごめん」 


割りかし素直にパッと離してくれた。


「じゃ、氷室さん気を付けて帰りなよ」


「き、今日はどうもありがとう...!

貴方がこなかったら私、今頃どうなっていたか...」


「本当に助かったわ...!」


「あ、まぁ、あんたに怪我とかなくてよかったよ

それじゃ...」


「ね、ねぇ...!」


「なに?まだ何か用??」


おいおい、マドンナ様よ、、お礼の言葉だけで俺は十分だよ。まだ何か言い足りないことでも?


「け、携番教えてくれない???」


彼女はいそいそと鞄からスマホを取り出していた。


「ん?携番を?誰の?シンヤのやつ?」


「シンヤの奴のならシンヤから直接聞いてよ。

また聞きみたいなのして、あとでなんで勝手に教えたんだよみたいなトラブルになりたく

ねぇからさ...」


俺よりシンヤの方が身綺麗にしてるし

男前。紹介ならいくらでもしてあげますとも。でも、連絡先は自分で尋ねてよって感じ。


「ち、違うのっ...!あなたのやつ!

山吹くんの携帯の電話番号を知りたいのよっ...」


ん?なんした?(なんした?は、とある地方の方言てか言い回し)


顔色がマニキュアとほぼ同じ色の桜色に

染まっていくんだが、マドンナのやつ

血液が顔に逆流でもしたのか?





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る