交渉

「離してやれよ...」


自然とそんな言葉が口からでた。

正直言って面倒ごとはごめんだ、と思いつつも、

俺は空手の師範である、じいちゃんから

「シンジいいか。困ってる人は助けてやれよ。空手は本当は喧嘩には使ってはいかんが、困ってる人を助けるためならアリアリのアリなんだからな」




俺が確か小1のころにそんなことを教えられ、

その教えのもと、めちゃくちゃしごかれた。

俺は祖父ガチャに、失敗した。

祖父の家が道場だったばっかりに、俺はお小遣いを本当ならじいちゃんに貰うために

うはうはでふつーならじいちゃん家に行くのだが、完璧に嫌々だった。物心ついたガキの頃から

道着を着せられ、じいちゃんや上級生相手に組み手をさせられ、散々な思い出だった。

白帯から黒帯までの道のりは、ほんと、血の滲む想いで渡り歩いてきた。


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