愚痴

命令口調で言われたから、少なからずカチンときてさ。シンヤに向き直って俺は同意を求めた。


「幼馴染との距離ならちゃんと置いているよな...?」


シンヤは巻き込まれたくない、とばかりに

嫌な顔してから

適当ではあるが、まぁまぁな相槌を打ってくれた。

「あ、ああ...!シンジはさ、ちゃんと距離を置いてるよ。現に、前ほど橘ヒナタと会話をしていないわけだし?一緒に登下校するこももしてないわけだし?別に一緒に昼飯を食べたりしてないわけだし?いいんじゃねぇか...?」


「...なら、いいんだけどよ...」


そう言って藤島は少し俺から離れてくれた。


藤島のやつは流石にもう、部活に顔を出さないといけない時間がきたらしい。こんな女絡みの話で部活をサボっていいわけないだろうからな。


俺らを見ることなくスタスタと部室の方向に

消えて行った。


俺らは帰途につく。


専ら、愚痴だった。


「なんで、こうも絡まれるかねぇ...」


「シンジ、元気出せよ。ほっときゃいいだろ。

まだ火種としたら小さいだろ。別に彼氏持ちの女に手を出したとかじゃねぇんだ。

距離だってちゃんと置いてる。橘ヒナタが

なんでかわかんないけどシンジにつきまとってくるってだけだ。おまえはぜんぜん悪くないよ...」


「そうだよなぁ...」


「でも、明日はどうすんだ?迎えに来てとか言われてるし、お弁当も受けとんなきゃいけないんだろ...?」


「いっそ休んじまうか...学校をさ...」


「いやでも、俺らしょっちゅう、学校サボってゲーセンとか行ってるし、これ以上欠席したら留年の危機だぞ...この前、担任の山ちゃんに俺ら二人、職員室に呼び出されてそんな

忠告されたじゃんか。まぁ俺の計算上は確かまだ大丈夫だけどさ。遅刻ならいいけど、

欠席はやべぇよ...遅刻は三回で欠席一回扱い、遅刻ならまだ猶予がある」


「そうなんだよなぁ...」


「取り敢えず、遅刻、とも思ったけど、

ほんとに具合悪いときにとっておきたいしなぁ...」


俺は葛藤していた。

明日、ヒナタの家の呼び鈴を鳴らして呼びに行くべきか否か。


考えたが非常に困っていた。


「呼びに行けば、それはヒナタに近づく行為だし。

俺からのアクションは、

近づくなと言われてるからだめよな」


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