役目

シンヤにそう慰められたのだが、

ダメだった。

追い討ちをかけるように、

俺達の背後を、二人が通ったのだ。


「え、え、、」


シンヤの驚きの声だった。

学園一の秀才が、学園一頭のいい幼馴染が、

何故かゲーセンに入ってきた件。


俺はゲーム機の画面に向かって一応座りかけたんだが、ふたりの声を敏感に察知し、

その場で動きを止めた。


振り向かなかった。

振り向いたら、きっと悔しくて泣いてしまいそうだから。

俺は底辺陰キャ。

勉強はできず、学年ビリ。

が、唯一の取り柄は格闘技ゲームをはじめとしたゲーム。ゲーセンは俺にとって輝ける場所。こんな、俺のテリトリー内でなぜに、

ゲームとは縁のない幼馴染と、

そして、陽キャのなかの陽キャ、イケメンのなかのイケメンさまがなぜにこんな日の当たらないゲーセンにやって来たのか理解不能なんですが。


未だかつて、イケメン藤島をゲーセンで目撃したことは皆無。だって、奴はサッカー部に所属して、日のあたるところで女の子にキャーキャー言われる役目。


日曜日とはいえ。

なぜこんなところに!?




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