落胆

ある日の日曜日。

ゲームヲタク仲間のシンヤとゲーセンに立ち寄ろうとした昼下がり。

シンヤが俺の肩をばんばんと勢いよく叩いた。


「お、おい、シンジ、あれ見ろ...!!!あれ!」


いってぇな、、と思いつつ

シンヤが指差した方向を見ると。

俺の幼馴染が、学園一のイケメンと腕を組んで歩いていた。


「うぉぅ...!!」


向こうはこっちに気付いていない。

俺も、シンヤも見てはいけないものを見てしまったかのように、大慌てゲーセンに入った。


「今の、お前の大好きな橘ヒナタだったよな?な?な?

そんでもって、隣にいたのはサッカー部のエースストライカーでもあり、学園一のイケメンであり秀才でもある藤島...!!!」


見間違えなんかではない。


長年の付き合いであり、俺が物心つく頃から大好きだった幼馴染、ヒナタの顔を見間違えるわけがないんだ。


「あ、ああ...!」


俺は膝から崩れ落ちそうになるのをなんとか堪えた。もっとも、シンヤのやつが

俺の肩を支えてくれ、

「お、おい、しっかりしろよ、シンジ!」と

言ってくれていたんだ。


俺のショックははかりしれない。

本当ならゲーセンで格ゲでもやりまくろうと思って息巻いてきたのだが、俺は先ほどの目撃情報でいとも簡単に覇気をなくし、


「シンヤ、今日はもう帰ろうぜ...」


なんて言葉を呟いていた。


「えええー、折角きたのに、嫌なことは忘れようぜ、

シンジ!さっき見たことはさ、幻かもしれないだろ!!ほら、元気出せよ。

な、格ゲやろぜ!な、パーっとやろうぜ!」

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