I see tell

 私は望んだ。あなたの未来を。


 私は捧げた。私の未来を。


 救えない。拯えない。掬えない。


 なんど掬おうとしても、あなただけが、私の手からこぼれ落ちていく。


 砂のように。灰のように。ただ、指の間をすり抜けていく。


 その度に私は現実いまを否定する。


 そんな私を見て、あなたはバカな女だと呆れるでしょうか。気が触れていると恐れるでしょうか。


 いいえ、あなたは怒るでしょう。これまでの私を想い、涙を流しながら私を叱るでしょう。俺のためにバカなことはしないでくれと。


 いつかの日のように、乱暴に、けれども優しく、私の頭を撫でながら。


 それでも構わない。


 だって、私の欲しいものはそこにしかなくて。天城くんのいない未来にはなにもなくて。


 道標のいなくなった私の向かう先にはどこにもなくて。


 ただ、ひたすらに問い続ける。


 どうして。どうして。どうして。


 答えは返ってこない。

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