第9話 シスターは、誰にも救われず涙する

「ちょっと!クレト殿!?これはどういうことですか!!」


 歓待の宴が始まり、しばらくすると急に眠気がして……気がつけば寝台の上に手足を縛られた状態で寝かされいる。イザベラは、自分の置かれている状況を正しく理解し、抗議の声を上げた。


「神父様は!?こんな非道なこと、神父様に知られたらただじゃ済みませんわよ!!」


 イザベラは、目を吊り上げてクレトを脅すように言い、即時解放を求めた。しかし……。


「神父様?ああ、こいつのことか?」


「ひっ!?」


 クレトは横たわるイザベラに、神父の生首をよーく見せつける。


「まあ、つまりだ。おまえを助けてくれる奴なんて、ここにはいないのさ」


 神父の生首をそこらに投げ捨てると、クレトは嫌らしい手つきでイザベラの首から胸、そしてお腹からさらに下へ触っていく。


「あなたは……神の怒りが怖ろしくないの!?天罰が下るわよ!!」


 瞳に涙を湛えて、イザベラが吐き出した言葉に、クレトの手が止まる。そして笑い出した。


「それなら、天罰。食らわしてみやがれ!!」


 ビリっ!!ビリビリ!!


 そう言って、イザベラの修道服を引き裂いた。


「ひひひ……今日一日、笑いをこらえながらおまえたちを接待したんだ。存分に楽しませてもらうよ」


 むき出しになった乳房をクレトは乱暴に弄ぶ。イザベラも抵抗を試みるが、手足が縛られていては何もできない。しかし、このままでは犯される。彼が思い止まる何かを探した。


「ギルドは……そうギルドよ!わたしたちはギルドの要請で来たんだから、こんなことしたら……」


 ようやく思いついたキーワード。効果があったのか、クレトの手が止まり、離れていく。


 しかし、ホッとしたのもつかの間、クレトが部屋の扉を開けると、イザベラが頼ろうとしたギルドの支部長とその職員らがそこには立っていた。


「助けてぇ!!助けてください!!!!」


 イザベラは必死に彼らに助けを求めて叫んだ。しかし……。


「村長!!後がつかえてるんスから、早くしてくださいよ」


「そうっスよ。巻きでお願いします!!」


 助けてくれるどころか、明らかに加担していた。


「残念ながら、奴らも仲間だ。俺の後に遊んでもらえ」


 そう言った後、近づいてきたクレトの後ろで、昼間の紳士的な表情を一変させた連中はニヤニヤしながらこちらを見ている。


「……まあ、見られながらっていうのも興奮するよな!!」


 イザベラの答えを聞くまでもなく、一方的にクレトはイザベラの体を蹂躙し始める。このままではまずいという結論に至り、イザベラは覚悟を決めた。


 【自爆魔法】を起動したのだ。


(お父さん……お母さん……先立つ不孝をお許しください。神様、この悪魔たちに神罰を!!)


 短いカウントダウンの中で、イザベラは最後の祈りを終えてその時を待った。


 しかし、何も起こらなかった。


「な……なぜ……?」


 突然、漏れた言葉に、クレトの手が止まる。そして、何をしようとしたのか思い当たった。


「残念だったな。この部屋、魔力封じかかってるんだわ」


 クレトは笑いながらささやいた。イザベラは絶望した。


(だれか……助けて……)


 扉の入り口から、自分を助けてくれる誰かが来ることを願いながら、イザベラはなすすべもなく、クレトによって蹂躙されていく。


 結局、助けは来なかった。

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