ガールズ・ミーツ・ボーイ
@Heineine
第一話
■8ミリフィルムと未来のヒロイン
あらすじ
親戚の結婚式の都合で、東京から九州の離島にやってきた僕は、結婚式に出席した後、その後の夏休みをこの島で過ごすことにした。
東京から持ってきた8ミリフィルムを片手に何気なく街をぶらついていると、淡いグラデーションの空色のワンピースを着た少女と砂浜で出会う。
君はこの島で何してるの。
「『ガール・ミーツ・ボーイ』を探しにきたんだよ」
そう告げた彼女との、忘れられない夏が始まる。
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ウェディングブーケを手に、人生最高の笑顔を浮かべた女性が、目の前を通り過ぎる。
横に並ぶ新郎のお兄さんも照れた表情でライスシャワーを浴びている。
結婚式を終えて、教会の出入り口を出たところで、参列者の列が二人を祝福していいた。
そのまま記念撮影を終えたところで、ドレスの女性が何歩か前に進み出て、後ろにブーケを放る。
晴れた真っ青の空に、黄色やピンクに白と、美しい花で彩られたブーケが弧を描いて宙を舞う。
僕は手にした8ミリフィルムのファインダー越しに、四角い長方形で切り取るその世界を覗きながら、その軌跡を追う。
ブーケは思いの外、飛距離が大きくて、先頭に陣取っていた集団を抜けていった。
それでも誰かがキャッチしたらしい。歓声が響いた。
人垣の隙間から手にした人物が見えた。胸元には抱きしめるような形でキャッチした花束。少しずつ下から上にパンアップする。
白い首筋、小さな顎や唇、整った鼻梁。そこから上は鍔広の帽子で影になって見えなかった。驚いたような、はにかんだような表情でいることが分かった
ーーもう少し寄ってみよう。
ファインダーを覗きながら、画角を調整し、少しずつ歩み寄ったところで……
ドサッ。
近くにいた誰かとぶつかったらしい。
「大丈夫かい? 」
ぶつかったのは、陽に焼けた様子がこの島の住人らしい、優しそうなおじさんだった。
「いえ、こちらこそすみません。つい夢中になってしまって……」
「ははは、それフィルムカメラだろ? あんま詳しくないけど撮り直しが効かないもんな? 」
「えぇ、そうなんです。あの、怪我はないですか? 」
「問題ない。はっはっは! 」
南国特有のカラッとした明るさに、東京のジメジメした空気に慣れた僕は気圧されながら、粗相を詫びた。
ガールズ・ミーツ・ボーイ @Heineine
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