第25話 こういう海外旅行も、良い。中東地域の化粧品話から、たくさんのことを学べたはず!女性の生き方につながっちゃうのが、すごいよね。

 「サンさん?」

 「はい」

 「マスクは、女性の生き方を、教えてくれましたね」

 「はい」

 「中東地域の女性たちは、マスクのような制限があるからこそ、きれいになっていこうとしていましたね」

 「そうでしたね」

 「努力、努力。コロナ禍は、良い教師です」

 「はい」

 「コロナ禍の教育が、学校の先生の教育と違うのは、今を生きる教育になっていたという点です」

 「そうですね」

 「学校の先生たちの教育は、すでに、死んでいます」

 「あ、反発ですね?」

 「ええ。私流の、反発マスク」

 「懐かしいなあ。私も、親に、反発したことがあったなあ」

 「それで、良いんですよ」

 「そうですか」

 「反発があるから、成長できるんです」

 「はい」

 「今どき男子を、見てください」

 「はい?」

 「反抗期を経験しない子が、多いんだそうです。お父さん、お母さん!じいじに、ばあば!」

 「…」

 「今を生きることに必死な中東地域の女性たちには、どう思われるでしょう」

 「…幼稚で、平和ボケ」

 「大変ですよ?日本の同世代の女の子たちは、そういう男子と、一緒になるんでしょうから」

 「…」

 「中東地域の女性たちの、化粧品話から、たくさんのことを学べたはずです」

 「私は、勉強不足。反省ばかりです」

 「それで、良いんですよ」

 「良いんですか?」

 「ええ。足りない部分に気付けるのは、救い。困るのは、勉強不足だとも、気付けない人たちです」

 「そうですか」

 「人は、何かから身を守ろうとすればするほど、傷付けられていく。コロナ禍は、人間の弱さ、生きるということの矛盾を、あばきましたね」

 もしも…。

 マスクをつけていない人に出会ったら、そっと、ソーシャル・ディスタンスをとってあげれば良い。

 怒っちゃ、ダメ!

 人には、いろいろと、事情があるんだし。

 マスク社会は、教訓の嵐。




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