第12話 「その、叶わない恋の思いを込めて、格子に、錠前をかける。願いが叶ったら、鍵を開ける」日本の、~断ちっていうのに、似ているなあ。

 「サッカハーネは、女性にとって、特別な場所」

 サッカハーネは、中東地域の女性たちにとって、秘密の花園のようなものになっていたんだね。

 「恋」

 それは、厳しいイスラムでも、大切な光。

 「苦しみを乗り越えられる力は、恋から生まれるんじゃないでしょうか?」

 「私も、そう思います」

 「そう信じられるから、ここに、きたんです」

 中東地域の女性たちは、強かった。

 町の書店では、サッカハーネのカードというものが、売られていたらしい。泉の柵が、くすんだ、油絵の具で描かれたアイテム。

 何だか、トレーディング・カード。

 注目され続ける、サッカハーネ。

 だから、本物のサッカハーネには、恋を叶える習わしが生まれた。

 「柵に、リボンや鍵などを結びつけて願掛けをする」

 さっきの、説明通り。

 赤や青のリボンは、恋愛の印。

 鍵は、叶わない恋を表しているんだとか。

 「その、叶わない恋の思いを込めて、格子に、錠前をかける。願いが叶ったら、鍵を開ける」

 へえ。

 日本の、~断ちっていうのに、似ているなあ。

 「私、願いが叶うまで、チョコレートを食べません」

 みたいな。

 格子柵をモチーフにした絵画作品は、他にも多いらしい。素敵なのは、リボンや鍵、メタルの飾りなどが、格子に結びつけられていたということ。そして、そのメタルには、文字や絵などのサインが刻んであったということ。

 一見して、呪文。

 おまじないだ。

 この字は、読めないという。

 現地のペルシャ語でもなければ、何語でもないっていうんだから。

 神秘的な、おまじないサインなのかな?

 神社とかの、難しい字に似ている?こういうところでも、イランと日本って、似ていたのかもね。

 「こういうの書いた人って、誰?」

 …で、これを作った人が誰か、わかってきたらしい。ミステリーな、中東の謎解きゲーム?

 





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