第9話 中東地域だと、基本、女性同士でも宿泊はダメ。男を連れ込むような商売女かもしれないから、だそうです。あ、そうなんだ。

 中東専門学校の先輩を、頼ろう!

 「先輩?私は、フロントの男性に、どう思われたんでしょう?」

 「面倒くさいなあって、思われていたんでしょうね」

 「うわ」

 「そもそも、あの地域では、女性の旅が難しい。私も、そうだった」

 「先輩も?」

 「箱入り娘の発想で、困ったものよ」

 中東地域では、女性は、父親か夫の同伴がないと、泊めさせてくれない。親離れできない、日本の新卒男子のよう。

 「お父さん!」

 「お母さん!」

 「じいじ、ばあば!」

 君たちは、いくつの男子だよ。

 大学の入学式に、親がくる。

 卒業式にも、くる。

 入社式にも、くる。

 1人でも生きろと突き放された、就職氷河期世代との差、半端ない。

 そういう男子と結婚する子は、相当、覚悟が必要。

 「学生有利」

 「何をしても、怒られない」

 その2つを、勘違いしていませんか?

 話は、戻って…。

 「中東だと、基本、女同士でも、宿泊はダメ。男を連れ込むような、商売女かもしれないから、泊めたくないんだって」

 「へえ」

 さすが、先輩情報。

 女性は、守られるの?

 それとも、遠ざけられるの?

 女性だけでも泊まることができたのは、大都市の高級ホテルとか、政府が経営する特別なホテルだけだという。

 ラフな格好の女性が、フロント近くを歩いていたとする。すると、フロントの人が、すぐ、駆け寄ってくる。

 「ダメですよ!スカーフを、かぶってください!ホテル内も、町の通りと同じです」

 中東地域では、良くあることだとか。

平和な日本と比べるから、感覚が、狂っちゃう。

 「サンさん?」

 「はい」

 「老後が心配だっていう言葉のよう、ですよ?」

 サヤさんが、変わったキーワードを持ち出した。

 感覚の、差。

 イランの人たちは、日本とは違って、決して、老後の心配を口にしなかったという。

 それは、なぜでしょう?

 それは…。






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