第4話 やめなさいって。中東地域は、女性を大切にしたいのか、セクハラをしたいのかの基準が、わかんないし。日本なら、大問題だよ。

 何なんだかなあって感じの、警備隊とのやりとり。

 「そこに、座っちゃ、ダメだ」

 「私、そこに座れって、言われただけなんですけれど」

 「なぜだ?」

 「なぜ?」

 「そうだ」

 「私が、女性だったから?」

 「何?」

 「レディーファーストだったからじゃないんですか?」

 「おお!」

 「はい?」

 「レディーファーストか!」

 「ええ」

 「なんて、嫌な言葉なんだ」

 「はい?」

 「ここの地域では、そういう言葉を認めないんだぞ」

 「はい?」

 「お前!」

 「はい」

 「レディーファーストは、アメリカの言葉なんじゃないのか?」

 「…さあ?」

 「違うのか?」

 「うーん…。もともとは、イギリスの言葉かも、しれません」

 「何だって?」

 「あ、でも、アメリカなのかな?」

 「何?」

 「ですからあ…」

 「俺たちは、アメリカが、大きらいなんだぞ!」

 「そうでしたか」

 「それからな!」

 「はい?」

 「お前、そこの運転手の男とは、どういう関係なんだ!」

 きた!

 ついに、浮気調査。

 「答えるんだ」

 「はあ…」

 「運転手とは、どういう関係なんだ?」

 「知らないおじさんと客の、関係です」

 「何?」

 「私は、何も、知りません」

 「本当か?」

 「本当です」

 「オー!」

 お笑い劇場が、1時間近く、続いたとか。

 バスは、発車できない。

 乗客たちは、くたびれ顔。

 …といっても、客は、文句は言わなかったそうな。中東地域では、そういう検問には、慣れていた?

 「降りろ」

 「ちょっと、何?」

 一旦、サヤさんは、バスを降ろされた。

 男性が、女性を、ボディチェックかよ。

 このときには、まだ、女性は大切に扱われず。

 怪しい物がないかを調べるためとはいえ、身体をベタベタ触ってきたのは、おじさん。

 女性を大切にしたいのか、セクハラをしたいのかの基準が、わかんないし。日本なら、大問題だよ。

 何なんだろうね?





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