第3話 女性の立ち位置の、謎。レディーファーストは、レディーファーストなんだけれど?バスは、いつになったら、出発できる?笑える旅が、続く。

 トルコから、隣りの国イランへ。

 「日本列島を横切るくらいの距離を、走ったと思います」

 「そうなんですか?」

 「この旅は、良かった」

 「思い出の旅に、なったのですね?」

 「ええ」

 「どんな感じで、ですか?」

 「考えさせられたのよねえ」

 「何を、ですか?」

 「女性の、立ち位置」

 「立ち位置、ですか?」

 なるほど。

 面白そうかも。

 サヤさんの経験談に、興味深く、聞き入ってしまった。

 中東地域では、民間の、フツーの高速バスが、急に止められることがあるらしい。警備隊が、乗り込んでくるからだ。

 「パスポートを、出しなさい」

 強盗とかじゃ、ないよ。

 警備隊。

 やり方は、荒っぽかったみたいだけれどもね。

 サヤさんは、驚いた。

 このときに、検査ではない、思いもよらないことを聞かれたから。

 中東地域は、謎。

 「私は、警備隊の人に、なぜ、車内の一番前に座ったんだねって、聞かれました」

 「え?」

 「そんなことを言われても、困りますよねえ?」

 「ですね…」

 「その席は、バスに乗り込んだときに、こちらに座ってくださいって、案内された場所だったんですから」

 「ですよね」

 そのときのやりとりが、女性旅行者の気持ちを、悩ませた。

 「お前は、女性だよな?」

 「…ええ、まあ、そうですけれど」

 こんな、やりとりになったという。

 笑えちゃう話だよ。

 「オー!お前は、なぜ、運転手の近くに座ったのかね?」

 「なぜ?」

 「そうだ」

 「案内されたから」

 「何?そこの席には、座っちゃいけないんだぞ?」

 「え?」

 何で?

 そこに座りなさいって、言われたのにさ。

 中東って、奇妙だね。

実は、座らされた席は、レディーファーストはレディーファーストなんだけれど、レディーファーストでなかったり。

 何だ、これ。

 バスは、いつになったら、出発できる?笑える旅が、続いていく。





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