44日目 悪夢

【注意】この話は希死念慮に関する内容を含みます。不快に思われる方や、苦手な方は読まないようにお願いいたします。





 こまりは酷い夢で目覚めた。

 元々何故か夢はよく見る。楽しい夢も、悲しい夢も。

 でもこんなに訴えかけてくるような悪夢は初めてで、横になったこまりは、身体に響く心臓の鼓動を感じた。


 元々ネガティブな人間なのはわかっていた。人よりも引きずりやすい性格なのも実感している。

 でも、もしも、この夢が自分の願いなんだとしたら、本当に生まれてこない方がましだったと思う。


 夢の中でこまりは実の母親に対して、何度も何度も叫んでいた。同じ言葉を繰り返し、もう相手には聞こえているのに、叫んでいた。


 死にたい。


 と叫んでいた。


 こまりの声掠れても、その叫びは止まらなかった。それは、目が覚めるまで続いた。


 絶対に絶対にこの夢を正夢にはしない。ネガティブでも引きこもりでもいいから、せめて人を傷つけるようなことはしたくない。


 もしそんなことをするようならば、生まれてこない方がましだ。


 こまりはこの日の大半を寝て過ごした。食欲はなかった。気力もなかった。何もしなかった。


 下手に動いて人を傷つけたくはなかった。



【今日できたこと】

 ・人を傷つけない


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る