来栖ちゃん
背中を俺と来栖で見送った。来栖はこっちの方を見ながら、
「凛ちゃん、事故っちゃったね。あんなかわいい女の子に好かれてるなんて、大成も幸せ者だね」
「あれは好かれてるのか?」
「……鈍感なのも程々にしときなよ。チャンス逃してるから、今まで彼女が出来なかったんでしょ」
そう言って、呆れる来栖。そんなことを言ったって中学生の時の俺は告白をされたこともなければ、女子と言えば来栖と話してたくらいかな。
「なんなの、まだ大成は白咲さんのこと好きなの?小さい時と同じでさ」
「いや、もう好きじゃないと思う。2回も一目惚れするなんてない」
「一目惚れじゃなかったら、また好きになるんだ」
「そんなのわからん。好きになる時はなるかもしれない」
「そっかぁ……」
そう言って少しだけ、悲しそうな顔をする。が、すぐにいつも通りの顔に戻ったので俺の勘違いだったのかと思う。
「私には一目惚れしなかったの?自分で言うものなんだけど、そこそこルックスはいいじゃん?」
「なんでだろうな。恋愛に興味がなかったからかな。だから、美人なお前にも臆せず話せたっていうのもある」
俺がそういうと、手を叩いて来栖は笑った。昔な話を懐かしんで話すように、
「あの時の私は告白されすぎて、女子からも男子からも嫌われてたからね。話してくれてたのは大成だけだったし」
「俺もぼっちだったから、ちょうど良かったんだよ」
「ほらまた、自分の努力を自分で認めないでしょ。わざと私のために、自分一人になる時間を作ってくれてたんでしょ」
「バレてたかぁ……」
確かにあの時は、一人でいつもいた来栖がほっておけなかった。それでも大勢で言ったって良くない。俺一人でも仲良くなれば逃げ道くらいにはなるだろう。そう思っていた。
「でも最初は俺の事、体目当てでずっと来てるって思ってただろ」
「まぁ、そうだね。前までがそればっかだったから、信じれなくなっててさ」
「仕方ないよなぁ」
「でも、私がいくら辛く当たってもずっと私に寄り添ってくれたから、私は他の人をまた信じれるようになったの」
「そりゃ、良かった」
あの時は酷かった。俺が何を話しかけても、うざいやキモイしか返ってこなかった時は何度諦めようかと思ったか。でも少しずつ心を開いてくれる来栖に、好感を持っていたからなのかもしれない。
「だからさ……」
「だから?」
「良い人と付き合って欲しいんだよね。大成にあう優しい人とさぁ」
「心配ありがと。頑張っていい人を見つけるわ」「それがいいよ」
そんな会話をしてると、俺は先生に呼ばれたので来栖を置いて先生の方に向かった。
♣
あー、またやっちゃったなぁ。いつか言おうと思ってたら、機会逃してばかり。私にはもったいなすぎるよね……。
私は好きだけど、あの人は私のことは好きになってくれないのだろう。
私に出来るのは影から見守るくらいかな。お願いだから良い人と付き合って欲しいな。
それだけが、私の願いだから。
♣♣
恋愛って難しいよねぇ。
星が欲しい(貪欲)
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