思い出
「来栖さんと仲がいいんですね。美人さんですもんね」
と若干、皮肉気味にいう。その姿に来栖は怯えている。凛ちゃんは顔は笑っているのだ。それでも人形のような笑みで感情はこもっていない。
「あはは、まぁ私と大成は小さい頃から、遊んでたから。幼なじみ?みたいな感じだから」
そう言って、来栖は凛ちゃんを落ち着かせようとする。でも凛ちゃんは止まる気配はない。グイグイと来栖に近づく。
「私は小学校から一緒でしたけどね?私の方が、小さい頃の大成くんを知ってますし」
そう言って凛ちゃんは自慢げに話すが、それがなんなんだという話だ。それなのに、衝撃ニュースを聞いたかのように振る舞う来栖。そして来栖は少しだけ不敵な笑みになると
「でも、中学校からどっかにいったんでしょ?最近の大成、知らないもんねぇ?体育祭とかかっこよかったなぁ……」
「な、な!?で、でも……、私の事、好きって言ってもらったもん!」
そう言って、余裕綽々な来栖の前に、駄々っ子状態になる凛ちゃん。普段がクールな分にギャップ萌えがすごい。
でもさっきの言葉はいろいろと誤解を招きそうなので、そこそこ大きめの声で周りの誤解をとく。
「ち、小さい頃な?」
俺がそういうと、ニタニタと不敵な笑みを続けている来栖は、凛ちゃんの白い肌の頬をぷにぷにと触りながら、凛ちゃんを煽るようにいう。
「小さい頃の思い出を引きずってて、可愛いでちゅねぇ?」
「そんなことないです……。ほら、見てください!」
そんなことを言うと、凛ちゃんは俺の手をぎゅっと握った。そして、ぎこちない笑みをキュッと作る。そんな仕草に、俺は思わずドキッとしてしまう。
「こういうことです……」
「白咲さん、めっちゃ照れてるよ。顔、真っ赤」
「あぅ…///も、もうダメ……です」
そういうと凛ちゃんはパッと手を離して教室の外へと走って出ていってしまった。さっきまであった凛ちゃんの手の体温を感じながら、パタパタと去る彼女の背中を見送った。
♣♣
内容は短かったですけど、甘かったでしょ?
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