お嫁さん
凛ちゃんのお嫁さん発言のことを俺はグルグル考えていた。冗談じゃなかったら、どうだったのだろうか。俺は嬉しかったのだろうか。お俺をどれだけ悩ませれば気が済むんだ。
俺はまだ凛ちゃんのことが好きなのか。それは無い。初恋の相手にまた恋するなんてありえない。でも、凛ちゃんがあの約束を覚えてくれていたら。
高校生になったら付き合おうなんていう、約束。今考えると、無理な話だ。成長するにつれ、美少女になっていく凛ちゃんと、モブな俺。釣り合うわけない。
「でも好きなんだよな……」
「なんだなんだ、大成。恋愛マスターの私を必要としてるかい?」
「来栖……。お前、美人だけど残念系だから彼氏いたことないじゃん。俺、中学校から知ってるけど、一目惚れ以外で好きなったってやつを俺は知らん」
「そ、そんなことはないと思う……」
そう言って来栖はしゅんとツインテールを盛り下げた。せっかくの美人が性格のせいでマイナス寄りになってしまう。
「大成は頑張らなきゃ。ずっと好きだった女の子と再会したんでしょ?アピールしていかなきゃ」
「そうなんだよな。でも多分俺は嫌われてると思うんだ。好きで一人でいたかもしれない、凛ちゃんにかまった上に、好きだなんて言い続けたんだぞ?」
「へー、クールな大成がそんな感情的に動く姿を見てみたいよ。じゃあ試しに私と付き合ってみよーよ」
そう言って、俺に顔を近づけてくる来栖。来栖の美人な顔が近づいてきて、男なら反射的に目を逸らしてしまう。
「来栖は俺なんかよりもっと良い奴が見つかる。俺なんかで妥協すんなよ」
「まぁ、私は玉の輿に乗ろうとは思ってますけどね?でも……大成の自己肯定感が低いのはダメだよ?大成は女子の中でも人気なんだから」
そう言って、ニコニコとする来栖。来栖は多分、玉の輿に乗ろうなんて考えていないだろう。ていうかその胸で男を釣れるなんて思わない方がいい。
なんていう最低なことを思っていると、横から掠れた笑みを浮かべる凛ちゃんが近づいてきた。
「来栖さんと仲がいいんですね、大成くん。来栖さん、美人ですもんね」
ふふふ、とお嬢様みたいな笑い方をする。わざとらしい笑い方をする。俺と来栖は目を合わせて背筋を凍らせた。体感5度は下がったと思う。
♣♣
星が欲しいのよ。
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