お菓子と凛ちゃん
授業が終わって、休み時間になって俺は持参したスティックチョコレート菓子を食べる。一言で言うと〇ッキー。
「え!?この学校はお菓子を持ってきていいんですか」
「いいと思う。普通に」
「そ、それひとつ私にくださいな」
そう言って、凛ちゃんは手を出すが俺が今食べたもので最後だった。最後の一本をアピールするために、俺はポッ〇ーの先端を凛ちゃんに向ける。
「こへぇではぁいごだった」
これで最後ということを伝えたかったのだが、何故か凛ちゃんは赤い顔をしてキョロキョロとしてから、俺の口に顔を近づける。
「教室でポッ〇ーゲームなんて大胆ですね……」
そう言って、俺の食べかけていたポッキーの先を噛む。ポッ〇ーは簡単に折れてしまって、本来の遊び方はしなかったのだが、そんなことをされると想像していなかった俺は、動揺が隠せない。
「凛ちゃん、多分勘違いしてると思うんだけど、これが最後の一本って伝えたかっただけだったんだけど」
「へ?え!?ほ、本当ですか?」
「うん。本当」
「でも、嬉しそうですね、大成くん」
手のひらを合わせて、ニコニコとする。余裕そうな素振りを見せているが、顔は真っ赤である。
「そりゃ、凛ちゃんみたいな可愛い子からあんなことされたらこんな顔にもなる」
「きゃ、きゃわいい!?そっかぁ。努力しててよかったぁ」
努力とは可愛さを保つためのだろうか。そんなことを思っていると、俺の友達の良成が声をかけてくる。凛ちゃんに聞こえるか、聞こえないかくらいの声で。
「なぁ、この人がお前の憧れの美少女なのか?」
「そうだと思う」
「す、すげぇ。なんかラブコメみたいな展開だな、お前に逢いに来てくれたんじゃないのか」
「有り得ねぇ。俺は多分、嫌われてるよ。小さい頃、あんなことしてるんだし」
「あんなことってなんなんだよ!俺にだけ教えてくれよォ……」
そう言って良成は俺の肩を揺らす。そんな姿を見て、凛ちゃんが話しかけてくる。
「濱田君でしたっけ?大成くんと仲がいいんですか?」
「あぁ。親友だぜ?」
「へ、へぇー。まぁ、私はセミに追いかけられて泣いていた大成くんを知ってますけどね」
そう言って、なぞのマウントをとる凛ちゃん。その言葉に何故か悔しがる良成。
「さすがに、憧れの美少女には勝てないか」
「……憧れの美少女?」
きょとんとする凛ちゃんと、手を合わせて謝罪をする良成。
「大成くん、私の事、ずっと思ってて下さったんですか……」
「ちがう、断じてちがう」
小さい頃の思い出を引きずってるキモイやつだと思われる。それに憧れのってダサすぎる……。
「へぇ……大成くん。私の事、忘れてなかったんだ」
そう言って、凛ちゃんは1つ結びにした白い髪を指先でクルクルと遊ばせていた。凛ちゃんは自分の唇を下で舐めた。そしてニコッとこちらを見ると、完全に俺の目をロックオンした。
♣♣
ポッキーゲームとかやってみたいものです。
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