小さい頃のお話3

俺たちが、いつも一緒にいる所を見てクラスメイトとは俺たちのことをはやし立てた。


「死神と大成、付き合ってるらしいぞ!」

「まじか。あんなやつを好きになるやついるのか」


そんなふうな噂がクラス中に出回った。そんなことはどうでもいい。みんなはなんでこんな可愛い凛ちゃんを避けるのか、意味がわからなかった。


「ほら、やっぱり。私と付き合ってるなんて勘違いされてるよ。私なんかとなんて……ごめん」


凛ちゃんは小さい頃の俺に謝った。これも意味がわからなかった。その行動の意味を俺の頭が判断したのはこういう意味だった。


「僕と付き合ってると思われるのが嫌なの?」

「絶対にそんなことない!」

「じゃあいいじゃない。僕は凛ちゃんと付き合ってると思われるの嬉しいよ?だって僕、凛ちゃんのこと好きだし」

「そっか。私のこと、好きなんだ……」

「うん、大好き」


この頃の俺は羞恥心というものはなかったのかとつくづく思う。


♣♣

俺たちは図書室でよく遊んだ。もともと本が好きだったという凛ちゃんに合わせた。それでも凛ちゃんの好きな物は全て好きだった。


「大成くん、この本面白かったよ。姫がいじめられてると王子様が助けに来てくれるの。そして姫と王子は恋に落ちて結ばれるんだよ」

「すごっ!この王子様、勇気凄すぎるでしょ。僕だったら絶対にビビっちゃうよ」

「いや、大成くんなら助けに行くと思うよ」


そう言って本越しにニコッと笑った。俺と会って初めて笑ってくれた瞬間だった。


前も俺が見えないところで笑っているみたいだったが、笑顔を見るのは初めてで二回、心を奪われた。


「私の笑顔、変だった?あんまり笑わないからぎこちなかったかも……」

「笑顔の方が100倍可愛いよ。僕の隣でずっと笑っていて欲しい」

「いいよ。私もずっと一緒にいたいなぁ……」


凛ちゃんは俺の毎回の告白にちゃんと返事をしてくれた瞬間だった。俺は嬉しさで打ち震えていたが、俺が何をしているのか分からず、こてんと首を傾げている。


「中学生で付き合ったら別れるらしいから、高校生になったら付き合おう」

「高校生になって付き合ったら、色んなことしよーね。」


そう言って凛ちゃんはクスリと笑った。


この時の俺はネットで調べた無駄なジンクスを信じていた為に、今じゃなくていつかでいいと思っていた。どうせずっと一緒にいられるんだからと。

俺たちは一緒にどこにでも行った。俺はこの人と結婚するんだ。そんなことを漠然と思っていた。


でも凛ちゃんは何も言わずに、この学校を引っ越しのためにいなくなった。


♣♣

やっと本題に入ります。小さい頃のお話はちょくちょく書いていこうと思います。





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