小さい頃のお話2
勢いよく教室を飛び出したので、二人とも息が上がっていた。肩で息をしながら、凛ちゃんは繋いだ手を、謝りながら離す。
小さい頃の俺からしたら一生繋いでくれていても良かったんだけど。
「大成くん……こんなこと言いたくないけど、私と一緒にいるといじめられるよ」
「え……?凛ちゃんと一緒にいると?」
俺がそういうと、凛ちゃんは少し寂しそうな顔をして、肯定の声を漏らす。
「うん。だから大成くんはいじめられて欲しくないから、私とは関わらない方がいいよ」
「な、なんで凛ちゃんはいじめられてるの?」
こんなことを軽々しく聞いてはダメなのかもしれない。でもこの時にそんなことを考える程の頭は残念ながら持ち合わせてなかった。
「私ね、アルビノっていう病気なんだ。髪の毛が白くなっちゃうの。だからおばさんって呼ばれてるの。みんなと違うから……」
そう言って、半泣きの顔になる凛ちゃん。多分、一生懸命耐えてきたのだろう。周りと違うことをいじられるのは相応、心にくる。
「でも、僕は凛ちゃんのその髪、好きだよ?」
「冗談はやめてよ。普通はクロな色で、こんな汚れた色で生まれたくなかった……」
そう言って泣いてしまう凛ちゃん。焦った俺は、何故だが、分からないが凛ちゃんを抱きしめていた。
「大丈夫。僕はその髪の色はとても綺麗だと思うよ。だから泣かないで。いじめられてるなら僕も一緒にいじめられてやる」
「え……、大成くん!?」
俺の胸の中でバタバタする凛ちゃんだったが、諦めて俺に体を預けた。今思うと、ヤバいやつだ。初対面の女の子を抱きしめるなんて、それに抱きしめられた方の気持ちを考えると……。
でもそんなことは考えてなかった。小さい頃の俺は少女漫画を読んで育った、恋愛馬鹿なのだ。
「一人が寂しいなら、いつでも傍にしてあげる」
「ほ、ほんとに?」
「うん」
「ありがと。本当にありがとう!」
そう言って、俺の胸に顔を埋めた。この後、転校生と死神が付き合ってるって噂されたのは言うまでもないし、光栄なことだ。
♣♣
「つ、次もみてね!」By凛ちゃん
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます