小さい頃にいじめられていた女の子を好きになって構いまくっていたら、私のヒーローだと告白される話

伊良(いら)

小さい頃のお話1

それは小学生4年生くらいの頃だった。周りには田んぼ。おじさんおばさんしか住んでいない田舎から、俺は引越しをした。


都会の新しい学校に通うことになったんだが、そこで小さい頃の俺は恋に落ちる。


綺麗な色をした白髪の少女に。


♣♣

「えーと、名前は佐海大成さかいたいせいです。たいせーって呼んでください」

「大成くんです。みんな仲良くしてあげてくださいねー」

「「はーい!」」


みんなが元気よく返事を返してくれる。田舎ではクラスメイトは4人くらいだったので、大勢のクラスにはなれる気がしないなぁ……。とでも思っていたと思う。


「じゃあ大成くんは、凛ちゃんの隣の席に座ってもらおうかな。よろしくね、凛ちゃん」

「え……はい」


そう、小さな声で返事する彼女は凛ちゃんという名前らしい。


「よ、よろしくね凛ちゃん」

「う、うん。よろしくっ……」


凛ちゃんは弱々しく返事した。でも顔はニコッと笑っており、その顔は幼いながらとても可愛かったと思った。そして小さい頃の俺は白い髪という綺麗なものに惹かれた。


この時の俺は心の中で思うということを知らない。思ったことを口にしてしまう残念なやつだった。


「綺麗な髪だね」

「え……!?」

「俺……凛ちゃんのこと好きかも」

「えぇ!?」


この時の俺は一目惚れというものをした。これは俺の人生で最初で最後。それは引っ越しの最中に、お姉ちゃんが持っていた少女漫画を読んでいたせいなのかもしれないが。


「意味わかんないよ、大成くん?」

「だから好きになっちゃったんだって!だから僕は凛ちゃんのおよめさんにしたい」


俺はお嫁さんの意味もわからず言っている。少女漫画のもち売りである。この時の俺が、一目惚れしていることは周りは当然知らないので、好き勝手にものをいう。


「大成くん可愛そ……あんなやつの隣とか」

「そうそう。あのおばさんとか俺だったら絶対嫌だもん」

「そうだよね。凛ちゃんとかのこと、陰キャって言うらしいよ。YouTubeで言ってた」


こんな時の子供なんて、聞こえたら相手が傷つくなんて考えて、何かを言うなんてことをしない。

普通、こんなことを言われていたら、凛ちゃんが馬鹿にされてると分かるはずなのだが。


「凛ちゃんはどこに住んでるの?一緒に帰ろーよー」


変な悪口のことなんて気にしていなかった。ていうか、心底どうでもよかった。目の前には初恋の人がいるのだから。


「で、でも私と言うと不幸が伝染るの。私、死神だから」

「し、死神!?」


凛ちゃんが悲しそうな顔をする。まるで俺に幻滅したようなそんな顔。でもこの時の俺が言う言葉で表情が一転する。


「めっちゃかっこいいじゃん!死神でこんなに可愛いとか最強じゃん!」

「え、え!?ど、どういう……」

「ていうか、不幸とかどうでもいいし。だってさお母さんが言ってたんだけど、幸運と不幸は同じ数訪れるんだって。不幸をうつすんだったら、幸運を運んでくれてるようなもんじゃん!」


比較的、食い気味に凛ちゃんに向かってはなす。


俺の熱量に終始、押され気味な凛ちゃんは「え……」とか困惑する吐息を漏らす。でも嫌そうには見えなかった。どちらかと言うと……。


「それにしても綺麗な髪だね。綺麗な白色」

「そ、そうかなっ///可愛いかな?」

「当然だよ!」


こんな会話を聞いていたクラスメイトはまぁ、イライラするだろうな。休み時間になると、俺の周りに集まって、俺の周りを囲む。


「凛ちゃんと話すのやめといたほうがいいよ、不幸が感染うつっちゃうよ?」

「ていうか、おばさんでしょ。俺のおばあちゃんと同じ髪の色してるしw」

「小学生でおばさんとか最悪じゃん」


そう言って汚い笑い声をあげる。次第に声が大きくなって凛ちゃんに聞こえるくらいの大きさになった。横を見ると、凛ちゃんは悲しそうな、諦めたようなそんな顔をしていた。


小さい頃の俺は凛ちゃんのそんな顔を見たくなかったんだと思う。


「俺は凛ちゃんのこと、大好きだけどなぁ」

「「……!?」」

「ちょ、ちょっと大成くん!」


そう言って、焦ったような声を上げた、凛ちゃんは俺のことを教室の外へと連れ出した。


だけど凛ちゃんは顔を真っ赤にして、少しだけうれしそうだった。


♣♣

恩返し系が流行ってるので乗ってみました。

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