第4話 吸血鬼と使い魔契約

「それでね、これからの話なんだけど…って、噛んだ所あんま触っちゃだめ!治ってる最中なんだからね!」


「飲めるぐらいの太さの血管のところまで牙突き刺された感じだったのに、もう治り始めてる!!すごい!!」


リズの噛んだ手首の傷が、すぐさま治り始めているのを見て都ははしゃぐ。

傷が塞がり、元の皮膚へと見た目を戻したところで、都の興味がリズへと戻る。


「ま、まあそりゃあ吸血鬼だもん。傷残して化膿でもしたら悪いイメージつくでしょ?」


「案外現実的なんだね」


「吸血鬼も生き残るために必死だったんだよ。まあ、配慮しても人間が滅んじゃったから元も子もないんだけどね」



城を探検したい、とごねる都に、まずは外でも生きられるよう契約を結ぶよ、とリズは都の方に毛布を投げた。

さっきまで地面に直で寝転がされてたのに何で今更、という都に、身内になるから、とリズは笑う。


「さ、もう寝るべきだよ。お互いへの制約なしの使い魔契約とはいえ、体力を使うからね」


「まだ外暗くないから眠気ないよ?」


「ここはずっと曇りで朝や夜の変化は目には見えない。夜を待っていても訪れやしないよ」


ホントに!?と叫んで今いる部屋を飛び出し外を見れる場所へと走り出そうとした都を、リズは慌てて止め、再び地面へと寝させる。



「じゃあ使い魔契約の話寝るまでしてくれない?」


「この吸血鬼の門外不出の話を子守唄代わりとは!ふふ、結構いい度胸してるよね、私君のこと好きだよ!」


「ほんと!?使い魔契約の話してくれるの!?」


「あっははは!君、やっぱ最高!私の愛を望んできた人間は沢山いるけど、この私から愛を囁かれて動じないなんて!本当に面白いね!」


「リズってちょくちょく自意識過剰だね?」


「ふふ、全部事実なんだけどね。君には全然効果ないみたいだよ」



眠気は無いと言いつつも毛布に包まれて安心したのか、目がとろんとしてきた都。それを見てリズは微笑んだ。

吸血鬼というのは、一度身内であると認識したら仲間意識が強くなるものだ。ましてや、使い魔となれば当然のこと。




「おやすみ。目が覚めたら使い魔契約の話をちゃんとしてあげるよ。できれば君の名前も知りたいものだね」

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