6 生存者達Ⅱ

(寒い……)

 美鈴は細長い窓の隙間から流れ込む外気の冷たさに思わず身を固くした。まだ秋口も序盤だというのに明け方近くの冷え込みはかなりのものがある。おまけに身体を覆うのはやっとのことで手に入れたシングルサイズの毛布一枚だ。家から持ち出したダッフルコートを着込んでいるとはいえ、震えるような肌寒さを完全に防ぐことはできない。それでもまだ身体の芯から凍えさす冷気でないだけマシであろう。このまま冬を迎えたらどうなるのか? そう考えて美鈴は慌てて頭を振った。そんなことがあるはずはない、と心の中で強く否定する。その頃にはきっと元通り家族四人で過ごす平凡な日々に戻っているはずだ。退屈だが穏やかな日常。口うるさい両親と生意気な妹に閉口しつつ友人達と他愛ないお喋りに興じるような毎日だ。その一方で、これまで見聞きしてきたこと全てが、そんな美鈴の淡い幻想を打ち砕くには充分な内容であることも理解している。ただ、それらを現実として受け容れるにはあまりに多くの出来事が唐突に起こり過ぎていた。思考がまるで追いついていかないのだ。それでもどうにかここまでやってこられたのは、今も美鈴の両脇から感じる確かな温もりのためだった。

 その片方の当時者である妹の加奈は、美鈴の右隣で肩に寄りかかるようにして静かな寝息を立てていた。起きている時は憎たらしいが、こうして眠っているのを見ると年相応のあどけなさが感じられる。四つ年下の妹とは格別仲が悪いわけではないが、普段は話すことも少ない。昔はおやつの取り合いやチャンネル権争いなど下らないことでしょっちゅう喧嘩をしていたものの、最近ではそれもなくなった。お互いに成長して別々の友人や習慣を持つようになり、考え方も違ってきているのだから、仕方がないことだと美鈴には思える。少なくともこうなるまでは身近にいるのが当たり前過ぎて、妹がどんな存在なのかを考えることも忘れてしまっていた。今は改めて二人きりの姉妹であることを意識する機会が増えた。それは取りも直さず残された家族が自分達だけだと心の奥底で感じていることの証と言えるかも知れないが、そのことについては努めて考えないように美鈴はしていた。

 逆隣の左側にはもう一つの温もりである六歳ほどの男の子がいた。美鈴がここに来て新たに庇護することになった対象だ。すっかり美鈴達姉妹に懐いて、今も身体をピタリと寄せて眠っている。美鈴は二人を起こさないように注意しながらずれた毛布をかけ直してやった。それから自分も耐え難い空腹感から少しでも逃れるために何とか眠ろうと努めた。

 避難を始めてから六日が経過していた。

 あの夜、妹の手を取って無我夢中で駆け出した美鈴は、迫る人影に追い立てられるようにして、どこをどう走ったのかもわからぬまま周囲の人の流れに混じりひたすら逃げ続けた結果、気付くとこの場所に辿り着いていた。住宅部品か何かを作る町工場のようで、一緒に逃げた人の中に持ち主がいたらしい。如何にも温和な顔つきのその初老の男性はシャッターを開けると、近くにいた人達全員を工場内に招き入れてくれた。その後、シャッターを閉じて鍵を掛け、それだけでは万全と言えなかったので、集まった人達で手分けして工作機械が並ぶ一階の窓を板や建材で塞いでいった。それからみんなを招き入れたおじさんに促されて、内部の鉄階段を上がり、二階に避難した。そこは広さが百畳ほどもある作業場で、隅の一角が壁で仕切られた事務所になっていた。一先ず全員でそこに身を潜める。総勢二十名ほどの老若男女がいた。集まりはしたものの、誰も率先してリーダーシップを取ろうとはしない。ほぼ全員が手にした携帯電話やスマートフォンを弄るのに夢中だったからだ。

(お父さん、怪我をしていたけど大丈夫かな。お母さんもどこにいるのか心配だし……)

 美鈴も自分のスマホで両親に連絡してみるが、どちらも回線が混雑していることを知らせるアナウンスが繰り返し流れたのみだった。

(弘樹……)

 はぐれた幼なじみのことを思い浮かべる。心配ではあるが、昔から要領の良かった弘樹のことだ。自分が避難できているくらいなのだから彼が逃げ切れなかったわけがない、そう思うことで何とか気持ちを落ち着かせた。

 そのうち、事務所の固定電話でどこかに連絡を取ろうとしていた工場の持ち主であるおじさんが溜め息混じりに受話器を置くと、やや緊張した面持ちで全員に向かって語りかけた。

「あの、皆さん。ちょっと宜しいでしょうか? 私、この工場を経営している者で菅谷と申します。今、事務所の電話で外にかけてみたんですが、警察も消防も繋がりません。皆さんの中にどなたか外部と連絡が取れた方はいらっしゃいますでしょうか?」

 誰も応えない。ということはこの辺り一帯が通信不能になっているということだろう。誰かが、テレビで何かやっているんじゃないか、と言ったのを受けて、おじさんがリモコンで壁際のテレビのスイッチを入れた。スマホのワンセグ放送も繋がらなくなっていたので、みんなの視線が一斉に注がれる。適当にチャンネルを変えると、どの局も臨時ニュースとして暴動が拡大している様子を伝えていた。

「昨日未明から各地で断続的に発生していた暴動は、瞬く間に全国に拡がりをみせています。現在、警察が関係機関と協力して事態の沈静化に当たっていますが、一向に収まる気配はありません。市民の皆さんは不必要な外出は避け、警察や消防の避難指示に従ってください。尚、この暴動は全世界規模で流行している疫病との関連性が一部で指摘されて──」

「暴動なんかじゃねえよ!」

 突然、美鈴の近くにいた若者がテレビに向かってそう声を荒げた。髪を金色に染めた如何にも粗暴そうな若者である。

「あんたらも見ただろ? 襲ってきた奴らのこと。暴動で人があんな風になるかよ。完全に狂ってたじゃねえか」

 その言葉に何人かが頷いて、何人かが顔を見合わせた。只の暴動ではないというのは美鈴も同意見だ。普通の状態の者があれほどの大怪我をして平気でいられるはずがない。だからといって、喚かなくてもいいのに、と美鈴は内心で思った。ここで騒いで一体何になるというのか。幾ら叫んだところで画面内のアナウンサーに届くわけではないのだ。注目を集めようとでもいうのだろうか? それとも偉そうに振る舞いたいだけなのか? いずれにしてもあまり関わりになりたくないタイプには違いなさそうだった。美鈴は妹の手を引いてさりげなくその場から離れ部屋の片隅に移動する。そこで小学生になるかならないかという年頃の男の子を見かけた。身体に見合った小さなリュックサックを背負って一人で詰まらなそうに椅子に腰掛けている。周囲に両親や知り合いらしき大人の姿は見られない。気になって、一人なの? と美鈴が声をかけると、男の子は黙って首を横に振り、別の一角を指差した。そこには派手な化粧の女性が喰い入るようにテレビの画面を眺めていた。

「あの人がお母さん?」

 母親にしては若いしあまり似ていないなと思いながら美鈴はそう訊ねた。違う、とだけ男の子は言った。

「じゃあ、親戚の人かな?」

 男の子は黙って首を振り、面倒臭いとばかりにそっぽを向いてしまった。

(どういうことだろう? 意味が通じなかったのかな?)

 仕方がないので美鈴はその女性に近付いて声をかけた。

「あの……お子さんを一人で放っておいても良いんでしょうか?」

 女性がテレビから視線を外し、何か用? と言いたげな表情で美鈴を見た。お子さんが、ともう一度美鈴が繰り返すと、ああ、あの子、と女性は煩わしげに答えた。

「違うわよ。私の子供じゃないの」

「えっ? でも、知っている様子でしたよ」

「それはそうよ。私がここに連れて来てあげたんだから。けど、それは逃げている途中でたまたま見かけたというだけなのよ。親とはぐれたみたいで、一人で道端に蹲っていたから仕方無しにここまで一緒に来たんだけど……でも、もういいでしょ? 私だって人のことに構っている余裕なんてないんだから。ここならこれだけ大勢の大人がいるわけだし、誰かが面倒を見てくれるわよ」

 そんな無責任な、と言いかけて美鈴はぐっと堪えた。この人を責めても仕方がないと思ったからだ。それに、もし自分がこの女性と同じ立場だったら果たしてあの混乱の最中、見ず知らずの子に手を貸すことができたかだろうか? 正直自信がない。それを思えばここまで連れて来たことはむしろ称賛されて然るべきかも知れない。とはいえ、このまま放って置くわけにもいかなかった。いずれはきちんとした大人が対処するにしても、それまで一緒に居てやる人間が必要なのではないか……。

「だったら私が面倒を見てもいいですか?」

 思った瞬間にはそう口にしていた。自分でも些か軽率と考えなくもない。子供を預かるという責任を軽く見ているのではないか、と言われればその通りだろう。それでも知らん顔はできなかったし、目の前の女性への反発も手伝って、当面は自分が一緒に居ることを決めていた。

「好きにすればいいんじゃないの?」

 それだけ言うと、もうこれ以上邪魔はしないでくれというように女性は再びテレビへと視線を転じた。

 男の子の下に戻った美鈴は妹に簡単に事情を説明し、暫く預かる旨を告げた。それを聞いた妹はお気楽なもので、じゃあ、当分は弟だ、と言うが早いかすぐに世話を焼き始めた。美鈴は男の子の前にしゃがみ込んで同じ目線の高さになるよう意識しながら、できるだけ優しい口調で話しかけた。

「あのおばちゃんね、何かご用があるんだって。だからお父さんやお母さんが見つかるまでお姉ちゃん達と一緒に居よっか?」

 そう言われた男の子は美鈴と妹の顔を交互に見比べて、暫く二人を吟味しているようだったが、やがて、いいよ、と頷いた。それから、お母さんはいつ迎えに来るの? と美鈴に訊ねた。それはお姉ちゃんにもわからないけど、と美鈴は言った。

「お姉ちゃん達もお父さんやお母さんとはぐれたの。だから一緒に待っていよう。それでね、お名前を教えてくれるかな?」

 オチアイユウマ、と男の子は名乗った。男の子の許可を得てリュックサックを見せて貰うと、ネームタグには「落合優馬」と記されていた。リュックの中身はキャラクターの絵柄が入ったタオルやハンカチだけで、名前以外に身元の手掛かりになりそうなものは何もなかった。

「ユウくんか……」

 リュックサックを返すと、私が美鈴でこっちが加奈よ、と自己紹介をした。加奈お姉ちゃんって呼ぶんだよ、と妹が話しかけているうちに突然階下が騒がしくなった。シャッターが乱暴に叩かれたかと思うと、続けて助けてくれという悲鳴混じりの絶叫に何が倒れる音やガラスの割れる音が重なった。一斉に美鈴達の周囲もざわつき始める。美鈴は自分が怯えながらも震える妹や男の子をきつく抱き締めた。

 そんな中、大変だ、と真っ青になりながら急いで事務所を出ようとする菅谷と名乗った経営者のおじさんを、どこに行く気だ、とさっきの金髪の若者が引き留めた。

「どこってもちろん、一階に決まってるじゃないですか。急いでシャッターを開けて外の人を入れて上げないと」

「悲鳴が聞こえただろ? もう遅いんだよ。今から行っても間に合わねえよ。それどころか、シャッターを開けたらあの狂った連中が雪崩れ込んで来るぞ。折角、窓を塞いで入れなくしたのに無駄にする気か」

「しかし、このまま見過ごすというわけには……」

 おじさんは当惑した表情を浮かべる。誰かに救いを求めるように辺りを見回すが、誰もおじさんと目を合わせようとはしない。

 やがて、物音は徐々に鎮まって、工場の周りを何かが動き回る気配はするものの、悲鳴や怒号は完全に聞こえなくなった。

「ほら見ろ。もう外にまともな奴なんて残ってねえよ。みんな死んだか、あいつらの仲間になったかに決まってる」

「ですが、ひょっとしたら隠れている人がいるかも知れません。確認するだけしてみないと……」

 依然として助けることを主張するするおじさんに、今度は別のところから反対の声が上がった。

「私もその人の言う通りだと思う。先程のように明らかに助けを求めているのならともかく、今はそんな声はどこからも聞こえてこない。冷たいようだが無事かどうか不明な外の者より、今ここにいる人間の安全を優先すべきじゃないか」

 発言したのは美鈴達の父親と同世代くらいのジャケット姿の男性だった。金髪の若者と違い、落ち着いた佇まいと礼儀正しい物腰に、どちらに付こうか迷っていた大勢の人達が賛同に回るのが雰囲気で見て取れた。美鈴も本音ではシャッターを開けて欲しくなどない。外にいるのがあの連中かも知れないと想像しただけで、寒気が止まらなくなる。だが、しかし、これだけは言わずにいられなかった。

「だったらシャッターは開けずに中から呼びかけてみるというのはどうでしょうか? 隠れている人がいれば返事があるはずですし、その人に安全かどうかを訊ねてシャッターを開けるのはそれからということにしてみては?」

 勇気を振り絞って美鈴はそう発言した。全員の視線が美鈴に集中する。この時までは主に男性からだが、チラチラと盗み見られることはあっても、こんな風に注目されたことはあまりなかった。自分から何かを主張するタイプでなかったのと、大抵は意見を述べる前に周りが放って置かなかったためである。先に意を汲んであれこれと手を尽くしてくれるのが常で、美鈴にはそうするだけの価値があると思われていた。口さがない妹に言わせると、黙って立っているだけなら、そこそこの美少女に見える、ということらしい。しかし、ここではそんな評価は何の役にも立たない。美鈴の容姿を気にかける余裕のある者などいないからだ。言いたいことがあるなら自分から積極的に発言しなければ誰も耳を貸そうとしない。それはこの短期間のうちに美鈴が鋭敏に感じ取っていた周囲の変化の一部だった。故に思わず意見を口に出してしまってから、こんな大胆な一面があったことに当の本人が一番驚いていた。

「そんなことをして中に人がいるとわかったら、余計に危ないんじゃないの?」

 別の女性がそう言う。美鈴はその人の方を向いて、はっきりとした口調で話した。

「それは心配ないと思います。灯りが点いていることは一目瞭然なわけですし、中に誰かいることはすぐにわかります。もし私達を襲うつもりならとっくにそうしているんじゃないでしょうか? それをしないのは襲う気がないのか、襲いたくてもできないのかのどちらかだと思います。だったら声をかけるくらいは問題ないと言えるんじゃないでしょうか?」

 でも、それは君の推測に過ぎない、と先程の折り目正しい男性が反論した。リスクが増えることには変わりがないよ。

「襲って来ないのも灯りだけでは中に人がいる確信が持てないからかも知れない。声をかけて誰かいるとわかれば是が非でも侵入する方法を見つけようとすることだって考えられるんじゃないのかな? 可能性は低くとも少しでも危険性が増すようなことは慎むべきだと私は思う」

 そう言われては美鈴も返す言葉が見つからなかった。しかし、ここで黙るわけにはいかないのだ。自分でもどうしてこんなにムキになるのか不思議だった。自分は一介の高校生に過ぎず、ここには大勢の大人達がいる。彼らに任せて出過ぎた真似は控えるべきではないのか、そんな考えがふと頭をよぎる。外にいた者を見捨てる後ろめたさへの言い訳ならもう充分に付いたのではないか。それでも尚、美鈴にはここにいる全員に伝えたい思いがあった。それを正直に告白する。

「本当のことを言います。私は他の人のことなんて全然考えていません。どうだっていいんです。私にはここに来る途中ではぐれた父と母がいます。連絡が付かず、今どこにいるのかもわかりません。もしかしたらその父と母が表にいるかも知れないんです。何もしないということは、その父や母を見殺しにすることに他なりません。私は何としてでも両親を助けたいです。自分勝手なエゴだと言われればその通りだと思います。そのために周りを巻き込むのかと非難されるのは当然でしょう。ですが、考えてみてください。皆さんにもそうした大切な人がいるんじゃないですか? それでも本当に何もせずに済ませられるんでしょうか?」

 美鈴にとっては精一杯の主張だった。全て本心からの言葉である。そうなのだ、自分は別に見知らぬ他人を助けたいわけではない。家族の無事を願わずにいれらなかっただけのことだ。だが、その言葉を聞いて、反対していた者を含めその場にいた全員が押し黙った。それは即ち美鈴の主張が正鵠を射ていたことに他ならなかった。皆が恐らく美鈴の言葉から喚起されたであろう相手を思い浮かべる中、その葛藤を見越したように経営者のおじさんが再び口を開いた。

「ご心配には及びません。一階には私一人で行きます。それで状況を見て声をかけるか判断したいと思います。皆さんは私が出て行ったらこの部屋に鍵を掛けて待っていてください。そうすれば万が一工場内に侵入されたとしてもここには入って来られません。何しろ、工場内は機械でうるさいですからね。こう見えてこの部屋は防音対策で割としっかりした造りになっていますから。多少のことではビクともしませんよ」

 最終的にはおじさんのその意見が通って、一人で外の様子を探りに行くことになった。おじさんが部屋を出ると、打ち合わせた通り他の者はドアを施錠して帰りを待った。暫くしてまたしてもシャッターが激しく叩かれ始め、その音が鎮まるより先に額に汗を掻いたおじさんが必死の形相で戻って来た。転がるように事務所に入って来ると、全員の前で力なく首を振った。

「悪かったね。折角、ああ言ってくれたのに誰も助けられなくて」

 表には助けを求める者どころか、未だに狂った連中が彷徨いているらしい。おじさんからそのことを聞いた避難者達は、それぞれが知り合い同士で寄り固まって、救助を待つことになった。美鈴達三人も部屋の片隅に陣取り、それを見かけたおじさんがわざわざやって来てそう声をかけてくれた。あれから一時間ほどでシャッターを打ち鳴らす音は止んだが、今も外には何者かがいる気配だけは伝わってくる。

「でも、これで工場に入って来られないことははっきりしたわけだからその点は安心していい。何、すぐに助けが来るさ」

 おじさんは美鈴達が子供だけだと知って、色々と気にかけてくれているようだ。

「残念ながら食べ物は置いていないが、水道はそこの給湯室のものを自由に使ってくれて構わない。他の人にもそう伝えてある。トイレも使えるからね。他に何か困ったことがあったら遠慮せずに言って欲しい。私で役に立つことなら何でも力になるよ」

「あの……菅谷さんがリーダーになるんでしょうか?」

「いやぁ。私にそんな器量はないよ。避難場所を提供しただけでね」

「でも、この工場を経営されているんですよね?」

「経営と言ったって殆どが家族だけでやっているみたいなものだからね。みんなをまとめるなんてとてもとても。それにそんな必要もないんじゃないかな。さっきも言ったけど、どうせ朝になれば救助が来るよ。日本の警察や消防は優秀だからね」

 それまで少しの間の辛抱だから、とおじさんは言い残して離れて行った。

 しかし、それから四日が経っても救助は現れなかった。

 その間、テレビのニュース番組は事態が沈静化に向かうどころか、刻々と悪くなる様子を伝えていた。程なくしてアナウンサーの口から「ゾンビ」という信じられない単語が飛び出すまでになった。死んだ人間が甦り他人を襲っていると言うのだ。フィクションさながらに噛まれた者までゾンビと化すらしい。すぐには受け容れ難い話だったが、どのニュースも同様のことを伝えている以上、信じないわけにはいかなかった。だとすれば噛まれた父親があの後どうなったかは容易に想像が付く。母親のことは気がかりには違いないが、今は自分達と同じくどこかに避難してくれていることを祈るしかない。妹の加奈は姉の負担を気遣ってか、気丈にも両親の安否について何も訊かなかった。その分、保護した小学一年生の男の子、落合優馬少年の面倒をあれこれと見ていた。そうすることで気を紛れさせていたのだろう。そのうち、テレビも何も映さなくなり、避難者達は特にすることもなく、めいめいが一定の距離を保ちながら事務所の床に自分のスペースを確保し、時々思い出したように携帯やスマホを弄ったりトイレに立ったりする以外は一日中じっとして過ごした。無駄に動けばそれだけ腹が減るからだ。何人かが持っていた食糧は初日に話し合った結果、全員に均等に分配されることになった。食糧を提供した者は見返りとして、優先的に場所を確保できたり、事務所にあった僅かな備品を手に入れたりした。当然ながらそれだけで食べ物が足りるはずもなく、全員が一様に空腹感を抱えていた。美鈴達にも僅かな乾パンと板チョコーレートが一枚渡され、三人で少しずつ分け合っていたが、それももう残り少なくなりつつある。

 そうした中で、やたらと美鈴に親しげに接してくる者がいた。初めてここに来た日にテレビに向かって声を荒げていた、あの金髪の若者だった。食糧を提供した者の一人で、代わりにここでは貴重な毛布を手に入れていた。その毛布を自分で使うのではなく、美鈴達に譲ろうと持ちかけてきたのだ。

「良かったらこれを使うといい。夜は寒いからな」

「……いいんですか?」

 美鈴は緊張を解くことなくそう応じた。確かに毛布は喉から手が出るほど欲しい。それは一晩夜を明かしただけで否応なく感じさせられたことだ。自分だけならまだしも幼い妹達に耐えさせるには忍びない寒さだった。ましてやこれからさらに冷え込むことが予想されるとあっては尚更である。この時点ではそこまで避難生活が長期化するとは思っていなかったが、有り難いことに変わりはない。それにも関わらず美鈴は躊躇した。若者が自分に向ける視線に、どこか粘着質な、得たいの知れない不気味さを感じていたからだ。単なる好奇の眼差しなら今時の女子高生で感じたことがない者はまずいないと言って良い。いちいち過敏に反応していては表も歩けなくなるので、自然と無視できる習性が身に付いている。特に美鈴の場合、普段から人並以上に視線を集めることが多く、若い男が自分を見る目には慣れているはずだった。その美鈴をして、あたかも見えない舌で舐め尽くされるかのような若者の視線は気になるものだった。この状況で他人に関心を払うだけの余裕がある者はなく、誰も注意をしてこないせいか、若者の方もあからさまな態度で隠す気はないらしい。それだけに何の見返りも無しに善意で毛布の提供を申し出たとは思えなかった。だが、幾ら少人数とはいえ、これだけの衆人環視の中で滅多なことはできないだろうと考え、美鈴はその申し出を受けることにした。せいぜい若者の不躾な視線に耐えれば済むことだ、そう思った。ところがそれ以降、若者は事ある毎に美鈴に対して馴れ馴れしく接するようになった。まるで恋人であるかのように振る舞い、周囲にもそう吹聴しているらしかった。当初は毛布の恩義もあり、やんわりと拒絶するに留めていたが、それを良いことに次第に行為をエスカレートさせていく若者から遂には気安く抱きつかれるに至っては、さすがに美鈴も我慢できなくなって強い調子で撥ね付けざるを得なくなった。それに対して若者は悪びれる様子もなく、冗談めかして胡麻化したのみである。軽いおふざけのように思わせているところが、若者の抜け目のなさを物語っていると言えよう。これでは誰かに訴えたところで、はぐらかされるのが落ちだった。美鈴は何があってもこの若者と二人きりにだけはなるまいと決心した。

 しかし、そんな美鈴の決意とは裏腹に五日目の朝、一つの提案が避難者間でなされた。このまま助けを待っていても埒が明かない、いずれ飢え死にするだけである、その前にここを出て他の避難者達との合流を図るべきではないか、というものだ。提案したのは菅谷のおじさんと、初日におじさんに反対していた中年男性だった。どうやら美鈴の知らないうちに、相談を重ねていたらしい。

「表に誰かがいる気配がなくなってから大分経ちますし、あのおかしな人達……テレビではゾンビと言っていましたが、それも立ち去ったと見て間違いないと思います。電気や水道などのライフラインが通じていることを考えると、外には無事な人達がいるはずです。避難所が立ち上がっているかも知れません。そこで体力が残っているうちに、他の避難者との合流を目指そうということになりました。もちろん、強制はしません。一緒に行きたいという人だけ来てください。残る人達には引き続きこの場所を自由に使っていただいて構いません。鍵もお渡しします。三十分したら出発しますので、それまでに各自でどうするのか考えて決めてください」

 その話を聞いて、大半の者が仲間と顔を寄せ合い、相談を始めた。中には早々と結論を出して荷物をまとめ始めた者もいる。この分なら殆どの人間が付いて行くことになりそうだ。おじさんが美鈴達の下に来て、君達はどうするのかと訊ねた。

「私達は……ここに残ります。小さい子もいますし、付いて行っても足手まといになるだけでしょうから。その代わりと言っては何ですが、もし警察や消防の人に遭ったら私達のことを伝えて貰えませんか? ここで救助を待っているって。どうかよろしくお願いします」

「ああ……ああ、もちろん、そうするよ。安心しなさい。避難所に辿り着いたらきっと警察や消防、自衛隊の人だっているだろうから、君達のことはちゃんと伝える。そうすれば必ず助けに来てくれるはずだから」

 そう言って、おじさんは食べずに取っておいたらしい自分の食糧を美鈴にそっと手渡した。

(そういえば、あの若者はどうする気だろう? みんなと一緒に行くんだろうか?)

 できればそうであって欲しい。美鈴は取り残される不安よりも、若者が残留することの方が気がかりだった。いっそのこと、おじさんに打ち明けて強引に連れ出して貰おうかとも考えたが、さすがに馴れ馴れしくされたからという理由で生死のかかった判断を強要するわけにはいかないだろう。若者が自発的に出て行くことを期待するしかない。

 こんな時、傍らに弘樹がいてくれたらどれほど心強かっただろうと美鈴は考えずにいられなかった。弘樹とは幼なじみではあるが、それ以上の関係を意識しなかったと言えば嘘になる。ただ、その存在が身近過ぎたせいか、お互いに後一歩が踏み出せず何となく今日まで来てしまっていた。もっとも特定の恋人を作らなかったのは、それだけが理由ではなかった。周囲からは比較的真面目で通っている美鈴も時には羽目を外したくなるごく普通の若者だ。ただし、今日日の女子高生というだけで世間では進んでいると見られがちだが、そういう子が目立つというだけで、美鈴のように高二でバージンというのも決してクラスの少数派ではない。今は女友達と騒ぐ方が愉しいから無理に恋人を持たないだけだ。そう話すと友達は、きれいなのに勿体無い、と言ってくれるが、自分ではあまり恋愛の役に立ったという憶えはない。街を歩いているとたまにモデルや芸能事務所のスカウトと称する人から声をかけられることはあるので、平均よりは可愛く見えるのだろう、という程度の自覚は何となくあるが、万事がドラスティックなことを嫌う性格がそうさせるのか、容姿で注目されるなんて若いうちだけだ、という醒めた思いがある。何年かすればそんなものは見向きもされなくなることはわかり切っている。だから分不相応な夢は見ずに、このまま無難に高校生活を過ごし、そこそこの大学を出て、何年か社会で働いた後本当に好きな人と結婚して、月並みだが平凡で幸せな家庭が築ければ良いと思ってきた。時にその相手に弘樹を思い描くこともあったが、いずれにしてもそれはまだ当分先になるはずだった。少なくともつい五日前まではそう考えていた。それなのに──。

 結局、美鈴が危惧したようにやはり若者は居残ることを決めたようだ。わざわざ美鈴の下に来てどうするのか訊ねたくらいなので、こちらに合わせてきたのは間違いなさそうだ。本人が周囲に吹聴していたせいで、それを訝しがる者もいなかった。美鈴にとって幸いだったのは、若者の他に奥さんの足が悪いという理由で一組の老夫婦と、こちらのわけは不明だが赤の他人同士という中年の男女が一人ずつの計四人が共に残留を決めたことだった。これで美鈴達と若者のみが残るという最悪の事態だけは何とか避けられたことになる。それでも不安は拭い切れなかった。準備が整うと、おじさん達は急ぎ工場を後にした。シャッターを閉じるために若者が一階まで同行していった。それにより必然的に若者の手に鍵が渡ったことで、更なる胸騒ぎを覚えたが、それでもその後の二十四時間は何事もなく過ごした。おじさん達が引き返して来ることはなく、助けも現れなかったので、出て行った人がどうなったのかはわからない。その一方で監視の目が減った若者の行動はますます大胆で怪しくなり、ある時トイレから出たところを待ち伏せされた挙句、強引にキスを迫られ、堪え切れなくなった美鈴が、あなたなんて何とも思っていない、これ以上付きまとわないで欲しい、顔を見るのも不快だ、と他に勘違いしようのないきっぱりとした口調でそう告げると、初め顔面を蒼白にした若者は次第に怒気を孕んだ表情で赤くなりながらもその場では何も言わずに立ち去った。そのことが却って美鈴の警戒心を強め、後になって軽率だったかも知れないと後悔し始めた。去り際に一瞬見せた若者の表情が、以前に美鈴をストーキングしていた別の男にそっくりだったのだ。

 そして今日、六日目の朝を迎えた。美鈴は物音と誰かの呻き声で目を醒ました。見ると若者が、残留したうちの一人である中年男性に殴る蹴るの暴行を加えている最中だった。近くにいた老夫婦に何事かと訊くと、先程突然若者から部屋の外の作業場に移るよう命じられたのだと言う。事務所を自分専用の部屋にするつもりらしい。それではゾンビに進入された際に身を護れないと意見した中年男性を若者はいきなり殴りつけたそうだ。その手にはどこで見つけたのか鎌のようなものまで握られている。中年男性が言われた通りにすると懇願して、やっとのことで暴行は収まったが、若者の傍若無人な振る舞いはそれだけに留まらなかった。これからは自分がリーダーとなり従わない者には容赦なく制裁を加えると宣言したのである。気に入らなければ出て行っても構わない、と言い放ち、じきに美鈴達を除く老夫婦と中年の男女四人は工場を退去することになった。こうなっては美鈴達もここには居られないと一緒に行こうとしたのだが、それは若者が許さなかった。有無を言わせぬ強い口調で、逆らえば酷い目に遭わされるのは必至だった。どうにか出て行くのを考え直して欲しいという美鈴の訴えも虚しく、四人は申し訳なさそうに部屋を後にした。それを美鈴は茫然とした思いで見送るしかなかった。唯一の慰めと言えたのは、四人を送り出すために若者が一時事務所を離れたことだ。束の間に過ぎなくはあったが。若者が戻って来ればその瞬間から美鈴にとっては悪夢の時間の始まりである。それを防ぐ手立ては皆無だ。事務所に立て籠るにしても若者の手の内に鍵があっては意味がない。机などでバリケードでも築けば多少の時間稼ぎにはなるかも知れないが、却って若者を怒らせて、その矛先が妹達に向かわないとも限らないのだ。それだけは何があろうと絶対に避けねばならない。恐らくは妹達を盾にされたら美鈴が逆らえないのを見越して二人を残したに相違ないのだから。自分が従順でいる限り妹達に手出しはさせない、そんな悲壮な覚悟を美鈴が固めた時、突如階下からガラスを引っ掻くような甲高い女性の悲鳴が聞こえた。一瞬にして心臓が縮み上がる恐怖と驚きに辛うじて耐えながら、美鈴は妹達に部屋の奥で隠れているように言い付け、自らはドアを開けて若者達が向かった一階の様子を探りに行った。普段の自分なら、あるいは震えているだけで何もできなかったかも知れない。どんなことをしてでも妹達を護り通すという決心が後押ししたのは間違いなかった。それで作業場の真ん中辺りまで行って、階段の降り口からそっと下を覗く。半分シャッターの開いた出入口付近でもみ合う人影らしきものが見えた。目を凝らすと床に仰向けになった中年男性に誰かが圧し掛かろうとしている。ここからでは上になった者の表情までは見えないが、それが何かは美鈴にもすぐにわかった。

(ゾンビだ!)

 そう理解したものの、もちろん、助けになど行けはしない。必死で声を上げるのを抑えて、さらに周辺を見回すのが精一杯だった。少し離れた場所で倒れて動かなくなっている中年女性を発見した。首筋の辺りが一面、真っ赤に染まっている。見ていると数秒後には一度大きく跳ね上がり、ゆっくりと起き上がった。その顔に生気は微塵も残されていない。一緒に出て行ったはずの老夫婦の姿はどこにもなかった。

(あの男は……?)

 尚も工場内に視線を走らせていると、大型工作機械の合間を縫うようにして逃げ回る金髪の若者の姿を捉えた。追っているのは当然ながらゾンビだが、その見憶えのある服装に美鈴は思わず息を呑んだ。数日前に出て行ったはずの工場の持ち主であるおじさんに他ならなかったのだ。

「そんな……」

 変わり果てたその姿に、思わず声が洩れた。その嘆きが聞こえたわけではないだろうが、気配を察したらしい若者が顔を上げると美鈴と目が合った。次の瞬間、金髪の若者は何かを思い出したらしく、階段に向かって駆け出す。それで若者が事務所に逃げ込むつもりなのが美鈴にもわかった。美鈴は瞬時にある決意をした。恐らくこれを逃せば若者の魔手から逃れる機会は二度とあるまい。罪の意識はあとから幾らでも感じよう。今は自分と妹達を護ることが何よりも先決だ。そのために成すべきことは決まっていた。美鈴は急いで事務所に引き返すと、ドアを閉め内側から鍵を掛けた。バリケードを築くだけの猶予はない。そのまま両手でドアを押さえ付ける。暫くしてドア越しに誰かが駆け寄って来る気配が伝わった。ドアの前に立ち開けようとノブを回すが、施錠されていて開かない。それに気付いた金髪の若者が扉の向こうで怒鳴り声を上げた。

「おい。何をやってやがる! さっさと鍵を開けろ!」

 焦って自分が鍵を持っていることも忘れているらしい。美鈴は返事をしない。乱暴にドアが叩かれるが、それも無視した。

「ふざけんじゃねえぞ。いい加減にしろよ、てめぇ! こんなことしてどうなるかわかってんだろうな? 憶えてろよ、あとで痛い目に遭わせてやるからな。そうだ、鍵はどこだ? クソクソクソクソクソクソクソクソクソ見つからねえじゃねえか、畜生! そこにいるんだろ? 今なら勘弁してやる。だからとっととドアを開けろ! ………………………………………………………………なあ、さっき言ったことを気にしてんならあれは全部冗談だから。取り消すからさぁ。頼むから開けてくれよ。鍵が見当たらねえんだよ。もうすぐあいつらがやって来ちまう。あのおっさんがゾンビになって戻って来やがったんだ。本当にわかってんのか? ここに来たら喰われるんだぞ。聞こえているんだろ? クソッ! 何とか言えよ!」

 不意にドアに重い衝撃が走った。どうやら向こうから殴るか蹴るかしたようだ。それでもおじさんの言葉通り、その程度のことではドアはビクともしなさそうだった。何度か繰り返されるが、効果がないと悟ったのか、諦めてもう一度話しかけてきた。その声には悲壮感が滲み出ていた。

「……わかったから頼む。もう付きまとわねえよ。自由にしてくれていい。約束する。何なら俺が出て行くよ。二度と戻って来ない。だから今だけは中に入れてくれ。本当に頼むから。まだ死にたくねえんだよ。お願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いします…………頼むって言ってんだろ! いいから開けやがれ! お前、このままだと本当に人殺しだぞ。死んだらぜってーに化けて出てやるからな。開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ……おい、シカトしてんじゃねえよ。もう許さねえ。お前も、そこにいるお前の妹も、ガキも全員ゾンビの餌にしてやる。覚悟しろよ」

 美鈴は目を閉じて必死に耐える。心の中で祈った。

(お願い……弘樹……護って……)

「本当に助けてくれ。もうそこまで足音が聞こえて来てるんだよ。何でこんな目に遭わなきゃならねえんだ。畜生……何でだよ? 何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で……うわっ! 来るな! やめろ……助け……」

 最後の方は悲鳴に掻き消されて聞き取れなかった。美鈴は若者の声が途絶えたのを確認すると、その場に崩れ落ちるようにして膝を付き、這いつくばって部屋の奥に戻った。妹達がワッと抱きついてくる。その間も声は止んだが、ドアはずっと叩かれ続けていた。時折ドアノブも回されるが、鍵が開けられることはなかった。その様子を部屋の片隅で見ながら美鈴は改めてこう思った。

 またしてもおじさんに救われたのだ、と。

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