第23話 嘲笑
1月も中旬まで時間が進み、受験を控えているもラストスパートをかけているおり、希望する学校へ進学できるかどうか、もうひと踏ん張りが多いこの時期。
最寄り駅のすぐ近くにある塾には、多彩な制服の生徒がそこかしこにおり、聞く耳を立てて聞いてみると『模試の話・受かったらどこに行く?・もうすぐ試験だから不安』などこの場にいる子たちの悩みが聞けて面白い。
もし、この人数の中で僕の後輩になる生徒はいるのだろうか。
面識はないが会ったらその時は優しくしてあげよう、などと思いつつその場を後にした。
それから数日が経つと今度は僕たち大学生の試験になる。
選択している授業によってはテスト免除の授業もあり、僕は大半が出席点やレポート課題などで成績を付けられる講義を取っていた。そのため3講義しかテストはない。その中で心理学のテストに関しては、ほとんど用語の意味を答えたり穴埋めするものしかなく、それほど難しくなかった。
「あぁ~~、終わった~~!!これから長い春休みだ~!!」
「お疲れ様、新田さんはほとんど授業がテストのやつだったもんね。ほとんど毎日学校に来ていたんだから、疲れるはずだよ」
試験も終わり続々と帰宅している生徒を見ながら僕と新田さんは先程の試験が同じであったこともあり、食堂にて少し遅めのお昼ご飯を食べていた。
テーブルにはきつねうどんと唐揚げカレーといったラインナップ、因みに僕の方がうどんである。
「それにしても問題難しくなかった?最後の『この用語を説明するため行うのに適した実験方法は何か、説明しなさい』なんて意味図らないよ、、、」
「あの問題は結構意地悪だなって思ったよ、僕も。でも少しでも書けば部分点ぐらいは貰えそうだったし、、、書いたりした?」
問題用紙もないし確認はできないけど、とりあえず互いに赤点は免れそうだ。そうして互いの試験結果予想をし、少し落ち着いてきた時に彼女は気になっていたことがあったのだろう、僕に質問を投げかけてきた。
「ねぇ、君島君はまだ女装やっているの?」
「ん…そうだね。細々と続けているよ。急にどうして?」
改まって聞かれると少し身構えてしまう。もしかして前回の出来事を思い出して僕に言いたいことでもあるのだろうか、食器を片そうかと思っていたが手を止めて彼女と話を続ける。
「ううん何でもないよ、ちょっと気になっただけ。あ!春休み一緒にデートでもしようよ!買い物とかさ、春物を買いにでもいこうよ!もちろん女装してね」
「あぁ、、、いいよ行こう。僕もシーズンで買いたいやつとか見てみたいし」
「うん、オッケー!それじゃよろしく!あ、私これからバイトだからもう行くね!」
そういって食器を片し出入り口から出ていった。彼女は少しもの言いたげな表情をしていたけどその意図は分からなかった。
その日の夜、僕は女装をして近くのコンビニで買い物をしていた。服装としては黒のレザー生地ロングスカートで白のニット。秋っぽい服装ではあったがお気に入りの服装なので、近場で外出女装をするとしたらこの格好なのだ
(やっぱり時期的としたら合わないのかな、春物ほしい~~)
『ねぇ、あの人って男じゃない・・・?」
『たしかにちょっと肩幅がごついよね…きも・・・www』
レジに並んでいると後ろからひそひそと声が聞こえた、きっと真後ろに並んでいるのだろう。途端に汗が噴き出て鼓動が早くなる。
すぐに会計を終え急ぎ足で店を出る間際、後ろを確認すると手を口当ててこちらを嘲笑うような目線がこちらに向けられていた
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