第17話 冬の恒例行事?

12月になると校内では、クリスマスなにするかを話し合うカップルや同性同士のグループ、年末に帰省するかなどの話題を聞くようになる。大学生となれば夜行バスに乗ってスキーに行く人もいるだろう。

そんな会話を聞きながら、僕自身も12月の予定を考えていた。


(12月か、、、毎年思うけど一緒に遊ぶ人もいないしバイト入れるしかないんだよね~)


この時期は独り身として非常に辛い、バイトを入れようにも『やっぱり予定なかったんだ』という目で見られるしわざわざ空いている人を探そうにも必死感が出てしまうので尚更嫌だった。


「あ、君島君じゃん!今日も、うどん食べてんの?ホント好きだね~」


「あ、新田さん。久しぶり」


久しぶりに会った彼女は前も綺麗だった茶髪をブリーチしてより綺麗な茶髪で皆がうらやむリア充グループのような出で立ちだった。

そんな彼女は『前座るね~』と話し、前の席に腰を掛ける。お昼で買ってきたのだろうか、コンビニ袋から取り出した物はロコモコ丼のようで手を合わせた後、食べ始める。


「そういえば、新田さん。この前はありがとうね」


「ん…?何が?何かやったっけ私」


「ほら、あれだよ。URLを張ってくれたやつ」


「あーあれね!で、どうだったの?やっぱり買った?」


身を乗り出すように聞いてくる彼女に『少し抑えて』とジェスチャーをし、彼女が少し落ち着いたのを見計らってそのことについて話し始めていった。


「お店に行ったときは、最初怪しいお店なんじゃないかと思ったんだ。けれど、中に入ってみたら沢山のかわいい服が置いてあって、気が付いたら夢中になってた」


「ほうほう、、、それで結局何か買ったの?」


「うん、店員さんに自分が着たい洋服の色合いとかを話してみたら、持ってきてくれて。セットの購入で少し値段が張ったんだけどいい買い物だったよ」


「そっかぁ~、でもよかったね。ああいったお店って調べても出てこなかったりするし君島君に教えて良かったよ」


心なしか少し満足げな表情をする新田さん。思った通りだったのか、それとも期待以上の成果だったのか分からないけど満足げな表情で手元にあるコーヒーを飲んだ後、いたずらっぽい表情で僕にこう告げる。


「それで、その姿はいつ私に公表してくれるの~?教えたしそれぐらいしてくれるよね、、、?」


「あー、、、それはもしかしたら年明けになっちゃうかな。で、でも約束は守るようにするから!」


「必死すぎでしょ(笑)まぁ気長に待つよ」


その後、次の講義が迫ってきたので互いに解散をし、また後日話すことに。相手の話を最後まで興味を持って聞いてくれる新田さんが友人で本当に良かったと思う。

午後は講義はない、昼食を食べ終えたらすぐに家にでも帰ってメイクを合わせてみようと考えていると、スマホに一通のメッセージが届いた。上崎さんだった。


『今日の夕方、久しぶりに会えない?』


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「こうやって会うのはいつぶりだろうか、、、」


夕方に集まることは先月?いらいだろうか。思い出そうとしないと思い浮かばないぐらいなので、結構前の出来事なのかもしれない。


「やっほー、久しぶり?そうでもないか。元気にしてた?」


「あ、お疲れ様。上崎さんは学校帰りなんだね、お疲れ様」


待ち合わせの10分前に集まり合流をする。互いに学校帰りで、彼女の着崩した制服姿が物語っている。それにしても、彼女のスクールバッグはまるで中身が入っていないように見え学校に置いて帰っているのか、それとも何も持ってこずに登校しているのだろうか、久しぶりに会うと見る目線が変わってくる。


「ところで今日はどこに行くの?買い物ならついていくけど」


「・・・海人くんってクリスマス暇だったりする?」


「え?それってどうゆう、、、」


単純な日々は突然し、思いも浮かばないことが舞い降りてくる

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