第6話 買い物のあとは

「・・・って出来事があったんですよ。もしかしてバレてません?」


「んー、どうなんだろうね~」


数日後、いつものようにカフェで上崎さんと話していた。いつもと違うのは、互いに何も予定が入っておらず、彼女自身は制服ではなく私服姿であった。

肩にかける形のネックセーターに白ベースに花柄が入ったロングスカート。そして、それに合わせるよう落ち着いたパンプスと茶色の肩掛けバックで、女子高生らしいさはなく、大人っぽい雰囲気を持ったカジュアルなコーデだった。


「まぁ、別にいいんじゃないかな。今の時代ってLGBTとかの芸能人っていっぱい出てきているし、SNSとかでも女装趣味の人を見かけたりするよ?」


「まぁ、そうなんですけどね…ただ、バレることを考えると」


確かに彼女の言う通りだと思う。昨今、そこまで希少扱いされないと思うが、もし、そういった人が近くにいるとしたらどうなのだろうか。

身近にいると聞きはするが、それでも友達の中にいたりしたら思いが違うだろう。

『変わった人』という認識で見られると思ってしまうし、女性陣からは『きもい』と思われるかもしれない。


「今更、考えても仕方ないんじゃない?ばれたらバレたで話をすればいいと思うよ。もう、そん時に考えよ?」


「・・・そうですね。そうします」


「よし!この話は終わり!買い物にでもいこっか」


「え、また買うんですか、、、女子ってすごいわ・・・」


「違うよ、今日は海人くんの買い物。この前、買い物行って洋服とか買ったけどコスメに関してはあまり揃えることができなかったからね。今日はそれを買い集めるかんじ」


結構買ったと思ったが、メイクに関してはかなりの幅があると聞いたことがある。

一つ一つ合う合わないものもあるし、買ってみて損はない。まぁ、財布と部屋のスペースを圧迫させてしまうのは致し方ないのだが・・・


「つべこべ言わずに行くよ。今日はセールやってたりするんだから売り切れ前に行きたいの」


(さっきまで俺の買い物の話だったのに、、、荷物持ちじゃないかな、僕)


色々と教えてもらっている手前、それぐらい我慢しなければ、と思いカフェを後にした。


それから2時間ほどショッピングモール内を歩き回った。正確には途中でカフェで休んだりしていたが、それでも歩き回った。


「手さげの紙袋が7つ・・・結構買ったね。こんなにも買うもんなの?女子って」


「まぁ、女子の服ってプチプラで安く売っているのが多いけどブランド物は通常の値段だと結構するんだよね。だから、セールの日を狙って欲しい物を買う。だから、早めに行って買うわけだし、物が増えていくって感じなんだよね」


分かるようで分からない。そこまで買う必要性はあるのだろうか。

セールの日なんて、ほぼ毎回みているような気がするが、そこは言わないでおこう


「でもまあ、互いにほしいもの買えたからいいんじゃない?よさげなコスメと洋服も買えたし」


「まぁ、実際に選んでくれたのは上崎さんですけどね。でも、自分の欲しい物があったのは良かったです」


着たい洋服に関しては、ある程度把握はしているつもりだが、それでも色合いや合うメイクに関しての知識はサッパリで彼女の助言がだいぶ、助かったりした。

上崎さんは、そういった洋服選びが得意なのかもしれない。


彼女自身、『女子ならだれでも知っている』なんていうかもしれないけど、彼女が選んでくれると外れることが少ない気がする。


「時間は、、、まだ夕方だね。ねぇ、悠馬くんの家って近いの?」


「え?あー、最寄り駅から近いですよ。歩いてすぐですね」


「ふーん、じゃあいこっか。海人君の家」


今なんて言った?僕の家?今まで一度も異性をまねきいれたことがないのに?


「なんか、すんごい挙動不審だけど。買った洋服併せられないじゃん。メイクも飾りじゃないんだよ?実際に塗ってみないと分からないでしょ」


その時の僕の頭は、部屋に上げた際の作法なり部屋の掃除なりが頭に浮かんでくる。

急な提案をそのままの勢いで受け入れてしまったことを今更ながら後悔し、僕の家に進んでいった。






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