第18話 最終兵器リーリル
「よう。リーリル。」
「何?」
ウェイはリーリルの前に座った。
「いいニュースと悪いニュースがある。どちらが聞きたい?」
「じゃあ、いいニュースから。」
「よし、いいニュースな。この前のゾンビ狩りで採取した血液をもとにアンチゾンビ薬の開発が進んだ。だが、もっと菌を手に入れないといけないらしい。そこで、あの花を咲かせてみることにした。」
「まさか、ラフレシアを?」
「ああ。ラフレシアを育ててそこの消化液から大量の菌を取り、それを殺菌できる成分を探す。」
「分かった。」
「さて、次に悪いニュースと行こうか。」
ウェイは少し顔を下に向けた。
「俺が池袋に行くことになった。」
「え?」
リーリルも池袋のヤバさはとっくのとうに承知している。
「そうなの!?生きて戻れるの?!」
「戻ってみせるよ。必ずな。何か収穫があるかもしれない。」
「私も連れてって!」
「無理だ。任務に生存者を連れていくことは原則としてできないことになっている。」
「そんな。じゃあこのままお別れでいいの!?」
「お別れになるとはだれも言っていない。」
「でも!」
そういってウェイを呼び続けるリーリルを見て、ウェイも気が変わった。
「よし。じゃあこうしよう。どっちにしろ軽車両では生存者は運べない。だから急いで開発した特注のバスを2台使うことになっている。その中に荷物のふりをして飛び乗ってくれ。仲間には伝えておく。そうすればただの荷物だと思われて誰も怪しまない。」
「まったく頭がいいわね。ウェイは。」
「そうか?」
ウェイは少し照れた。
最終学歴が中卒である彼にとって、頭がいいと言われることはすごくうれしいのだ。
「まあとにかく、お前はついてこれることになった。作戦まであと2日。俺はもう三度とゾンビによって人が殺されるのを見たくない。だから、絶対に死ぬな。」
「ええ。最終兵器は使われるまで死にませんから。」
「ああ!」
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