第4話 リーリル
SCに入り込んだ先で見たのは、ゾンビの死体が転がる風景だった。
「ここがSC…。さびれてるな。」
「変なにおいがする。」
「とりあえず、人がいるとしたら下の階にあるスーパーが有力だ。4階にはホームセンターがあるから、そこにもいるかもな。」
「よし。じゃあ手分けして探すか。」
その時
「キャー!」
「この声!」
「ああ間違いない。人間の少女の声だ。」
「上だ!」
「上に上がる方法は?!」
「エレベーターじゃ遅い。そこのエスカレーターを使うぞ!」
「おう!」
急いで近くにあったエスカレーターを上る。
エスカレータを上り、上の階についた。
そこには
「エスカレーターが見えてきた!あともう少し!」
「ヴヷ―!」
ゾンビに追われる二人の少年少女がいた
「ウェイ!早くHK416を!」
「分かってる!」
急いでウェイがHK416を構えた。
しかし、時すでにお寿司。
ゾンビが少年に手を伸ばす。
少年は横にダイブし、手は空を切った。
しかし、そのダイブした先に容赦なくゾンビが跳びかかる。
「がはっ!」
少年はゾンビに体を貫かれてしまった。
「はっ!」
近くにいた少女は言葉も出ないといった様子で息をのんだ。
そして、死んだ少年の死体をゾンビはむさぼろうとした。
「遅かったか…。畜生!」
「早くこいつを始末しないと。」
その瞬間
「ハルから離れて!」
少女がゾンビにバールで殴ろうとする。
ゾンビは腕で受け止めた。
「ウェイ、今がチャンスだ!HK416を!」
「オッケー!」
「照準は?」
「よし!」
「支え?」
「よし!」
ゾンビが少女に手を出し、少女が後ろに逃げる。
ゾンビは立ち上がり、少女を追って前に進んだ。
ウェイはゾンビが立ち上がって前に進んだゾンビの頭部にすぐさま照準を合わせた。
「俺の合図で撃て。スリー、ツー」
ウェイは引き金に手をかけた。
「ワン、ファイア!」
ウェイが引き金を引いた。
「ヷヴー!」
うめき声をあげてゾンビは倒れた。
「はあ、はあ。やった。とりあえずあの子の方へ。」
3人は少女の方へ駆け寄った。
「大丈夫だった?怪我はない?」
ウェイがそう聞いた瞬間、少女の平手打ちがウェイにさく裂しそうになった。
しかし、卓球部時代に培った瞬発力ですぐさま彼女の手首をつかんで、手を止めた。
「もっと前からいたでしょ!どうして助けてくれなかったの?!」
その言葉はウェイの心に平手打ち以上のクリティカルヒットを与えた。
「そう。確かにもっと前からいた。あの子も助けられたはずなのに。申し訳ない。俺が手をこまねいていたから。本当にすまない!」
ウェイはうつむく。
一方、グレートとロトージは珍しくうつむいているウェイをただ見つめていた。
先に声をかけたのはグレートだった。
「そんなに落ち込むことはない。それに、全滅しなかっただけよかったじゃないか。」
ロトージが続く。
「そうだ。それに、まだこのショッピングモールには人がいるかもしれない。そんな一人の少女にかまってる暇は俺たちにはない。」
そのロトージの言葉はウェイの心に火をつけた。
ウェイはロトージにつかみかかった。
「てめえ…。俺たちの仕事は人を救うことだろ!救えたはずの子供一人を救えなかった事の重大さがわからないのか?!」
「は?俺が問いたいのはそのことじゃねえ。こうしてお前がへこんでる間に多くの人が危険にさらされてる可能性があるのに何でお前はグズグズへこんでんだって話だ!」
「子供一人を救えなかったんだぞ…!輝かしい未来があったかもしれない子供一人を、だ!へこまないやつがどうかしてる!」
「感情で考えるしかできないとは…。やっぱお前は中卒だから成長してないな。」
「てめえ…。そうかそうか。貴様はそんな奴だったんだな!」
「こんなやつで悪かったな!俺は上に言って生存者を探してくる。お前は好きにしろ。」
ロトージはウェイを突き飛ばすと、グレートを連れて上の階へ上がった。
「すまない。見苦しいところを見せて。それで、名前は?」
「リーリル。あなたは?」
「俺は自衛隊のウェイだ。よろしく。」
「よろしくお願いします。」
「それで、どうしてこういうことになった?」
「私、さっき死んじゃったハルの家に泊まってたんだけど、そこに突然ゾンビが現れたの。それから家を出て、しばらくさまよってたんだけど、物資の調達のためにここに来たの。それで、物資を調達中にゾンビに襲われて、逃げてる途中にあなたたちが来たの。」
「なるほど。君たち以外に人はいるの?」
「ええ。何人かここに。だけど、ほとんどの人はゾンビにされてる。」
その時
トランシーバーから通信が来た。
「どうした?どうぞ」
「今上の階で生存者を三人ほど見つけた。だがゾンビ3体が襲い掛かってきて、今困ってる。今下の階に降りていくから、合流してくれ。だが、相手のゾンビは手ごわいぞ。何せチェーンソーを自在に操るからな。どうぞ。」
「チェーンソーだと?どうぞ。」
「そうだ。しかも1メートルとリーチが長いし足も速い。どうぞ。」
「今行く!位置は?どうぞ。」
「4階ホームセンターだ。だがさすがにホームセンターで戦うのは限界があるから外に出る。どうぞ。」
「分かった!じゃあ切るぜ!」
トランシーバーを切った
「すまんな。俺、行かなきゃならない。仲間がピンチなんだ。助けてほしい人もいるし。」
「私も行く!少しでも私みたいな思いをする人を減らしたいから!」
「本気か?!相手は手ごわいんだぞ。」
「たとえここで断っても、私はすぐに殺されるでしょう。なら、少しでも怖い目に合う人を減らしたい!」
「…いいんだな?」
「何回言われても変わらない!」
「…よし、今日から俺たちの仲間だ。」
「ありがとう!」
「それで、これがお前の武器だ。」
ウェイはベルトから拳銃を取り出した。
「これは?」
「9㎜拳銃だ。撃てるようにはしてある。装弾数は9発。一回も使ってないから9回だけ使える。分かったか?」
「ええ?!」
「よし!じゃあ行くか!チェーンソーマンの元へ!
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