2章目
夜が明け、太陽が昇ってしまう前におかみさんはやってきて、
「この怠け者、起きるんだよ。たきぎを集めにみんなで森へ行くんだから」
と、言って子供たちを起こしました。
子供たちは眠たい目を擦りながら、おかみさんからパンを受け取り、こう言われました。
「夕食にも何かあるけど、その前に食べてしまうんじゃないよ。他に何ももらえないんだからね」
ヘンゼルは、たくやのハーブティーの効果でぐっすり眠っているグレーテルを、おぶりながら森に行く道を出発します。
少し歩くと、お父さんがヘンゼルに声をかけました。
「ヘンゼル、グレーテルをおぶってくれるのはとても助かるがなぁ、大変だろう?父さんが代わりにおぶってあげるよ」
そんな優しい声掛けにヘンゼルはこう応じました。
「大丈夫だよ、」
すると、お父さんは困ったような顔をしました。そして、
「そうか。じゃあヘンゼル、後ろを見ながら歩くんだよ」
お父さんの言葉を不思議に思いながら、ヘンゼルは後ろを振り向きました。
すると、自分達の家から今、自分達のいる場所まで真っ直ぐと線が引かれてるではありませんか。
グレーテルの足を引きずっていたからです。
さすがのヘンゼルでも、眠っているグレーテルを背中だけで安定させ運ぶのは不可能だったのでしょう。
それから、ヘンゼルは後ろを振り返り、グレーテルをおぶり直すということを繰り返していくのでした。
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みなさん、本当にグレーテルの足だけで、はっきりと線がひけると思いますか?
勘がいい人はもうお気づきのことでしょう。
そう、たくやが線を上塗りしていたのです。
ハーブティーのせいでヘンゼルたちは石を拾えなかったので、出来るだけ不審がられないように、道標を作っていたのです。
なので、家から真っ直ぐに森まで線が引かれていくのでした。
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