ヘンゼルとグレーテル
1章目
大きな森の近くに木こりが住んでいました。
木こりには家族がおりました。
おかみさんと、息子の“ヘンゼル”と、娘の“グレーテル“。
木こりの家は貧しく、大飢饉が起きたときには、パンでさえ得ることが出来ないほどでした。
木こりはある夜、心配になりました。
「俺たちこれからどうなってしまうのだろうか。自分たちの分の食料も、もう何もないのにどうやって可哀そうな子供たちに食べさそうか?」
と、相談すると、おかみさんは
「あんた、こうしたらどう?」
と答えました。
それは、明日の朝早く子供たちを森の木の一番茂っているところへ連れていき、そこで子供たちに火をたいてあげ、一人ずつパンを渡す。
それから自分たちは子供を置いて仕事に行く。
子供たちは家へ帰る道がわからないだろうから、縁を切れる、という最低なことでした。
さすがの木こりも、
「そんなかわいそうなことできないよ」
と、止めようとしました。
ですが、おかみさんが
「子供達がいると、私たちの食べる食料もなくなり、4人で飢え死にしてしまうわよ」
と、しつこくいうと、木こりも「子供達がかわいそう」と思いつつも、
承知してしまいました。
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本来の話ならば、ここでお腹が空いて目が覚めてしまった、ヘンゼルとグレーテルが二人の話を聞いてしまうのだが……
出てこない…………何故ならば——
——数時間前、
「これ。少ししかないが、プレゼントだ」
どうやら、たくやが転生した人物はヘンゼルとグレーテルの親の木こりの友達だったようだ。
たくやはそのことを利用し、木こりの家に来ていた。
「君も大変なはずなのに…こんないいものをありがとう」
木こりが目を輝かせ何かに感謝している。
「ぜひ、子供たちにも飲ませてあげな」
たくやが、木こり家にハーブティーをプレゼントしていたのだ。
たくやの作戦はこう、
1、大人が飲むと普通だが、子供が飲むと眠くなる成分が体の中で倍増する、ハーブティーを作る。
2、それを木こりにプレゼントする。
3、木こりは我が子を愛しているので、そのハーブティーを、必ず子供たちにも飲ませるはず。
結論、たくやはまず、ヘンゼルとグレーテルのメンタルを救おうとしていたのだ。
二人が、おかみさんから捨てられそうになっていることに気づくと、絶望すると思ったから、お腹が空いても目が覚めることのないハーブティーをプレゼントしたのだ。
だが、ここでヘンゼルとグレーテルがこの話を聞かなければ、ヘンゼルが家に帰るために石を集めることができない。
…………………………大丈夫なのだろうか。
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