第24話


 部屋に着くと、まず俺は汗を流したかったのでシャワーに入ると伝えた。


 すると香織ちゃんが、


「私も‥‥入ります」


「うん」


 俺には願ってもない展開だったが、香織ちゃんの気持ちがいまいち理解できなかった。



 俺は毎日香織ちゃんを想像しながらだった為、久しぶりの本人に興奮が止まらなかった。



「私が洗いますよ」


「え、あ、じゃあお願いしようかな」


 香織ちゃんは笑顔こそないが、もしかして欲求不満だったのかと思うほど攻めてきた。



 洗う手は力強く、俺はその時点でもう無理そうだった。


「次は俺が洗ってあげるよ」


「はい」


 生香織ちゃんだ。


 俺はボディソープをたっぷりつけくまなく洗った。


 胸の周りを中心に向かいながらぐるぐると洗う。

 微かに声が漏れている香織ちゃん。


 先端に届いた時にはバスルームに響くほどの声が出ていた。


 全身をしっかり流して上がる。



 香織ちゃんがソファに座ったので、俺も横に座ってみた。



「話するかい?」


「はい、正直に言いますね」


 俺たちは体にタオルを巻いたまま話をする事にした。




「あの日、私が途中で帰った時の事です」


「うん」


「あの後たけるから電話があって呼び出されたんです。それで、ある店に連れて行かれました」


 俺はやっぱりバレてたかと思った。


「うん」


「その店は18歳以上じゃないと入れないらしかったんですけど、たけるに着いて行くと入れて。そこで見ちゃったんです」


「見ちゃったんだね」


「はい、すごくビックリしました」


「言い訳するわけじゃないけどあのドールは香織ちゃんと付き合う前から持っていた物なんだ。香織ちゃんと付き合うようになって俺には必要なくなったから売ったんだよ」


「そうなんですか。正直見た時は気持ち悪ささえ感じました」


「ありゃ」


「でもずっと悩んでて。あれを見てからたけるに俺にしとけって言われてその時はショックが大きかったから付き合ったけど、よく考えてみたら売ったって事はもう必要ないから売ったわけで、それって私の事本当に好きだからなんじゃないのかって思って」


「そうだよ」


「だからさっき小竹さんが言ってた事と私が思ってた事が同じだったから少しホッとした自分もいて」


「うん」


「それに趣味趣向は人それぞれで、それを軽蔑したりする事って愚かなんじゃないのかって。なにより、私の気持ちが落ち着かなくて」


「香織ちゃんはどうしたいの?」


「私は‥‥小竹さんが好きです」


「それは俺もだよ」


「それと、実は私も小竹さんに言ってなかった事があって」


「ん?」


「小竹さんが電車で私にぶつかったのって偶然じゃないんですよ」


 

「どうゆう事?」



 香織ちゃんが微かに微笑んでいるのは気のせいだろうか。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る