第19話


 次の日香織ちゃんに連絡してみたが返事がない。いつもならすぐ返事がくるはずなのに。


 俺は焦っていた。あのたけるが香織ちゃんに変な事を言ったからだ。


 それから数日間はずっとソワソワして落ち着かなかった。寝ても覚めても香織ちゃんの事を考えて、頭がおかしくなりそうだった。


 コンビニにも行ったが、短期のアルバイトだったらしく今はやめていると。


 もちろん家も知らないし、学校も知らない。まぁ知ってた所で行けないが。


 家に帰ってもナナちゃんはいないし、俺はどうしたらいいものかと困り果てていた。


 今の俺には香織ちゃんとの夜を思い出して、一人発散するのが唯一の癒しだった。


 50万が無駄になる‥‥。


 仕方ない、無駄にするよりかはマシだ。



「山城さん、今日一杯どうかな」


「小竹さんから誘ってくれるなんて珍しいですね」


「で、どうなの?」


「もちろん行きますよ!」


 俺は山城さんを誘い、居酒屋で酒をしこたま飲む。


「小竹さん、なんかあったんですか?」


「え、まぁ」


「最近の小竹さん、見た目も若いし、体つきもなんだかスマートになってるのに元気なくて、もったいないですね」


 そうだよ、もったいないから山城さんを誘ったんだよ。


「この後、行ける?」


「この前のリベンジですか?」


「まあそんな所かな」


「私、今日だめな日なんですよ、ごめんなさい」


「はぁ?」


 なんでそれを先に言わないんだよ!と思ったがそんな事言う気力も今の俺にはなかった。


「帰るわ」


「もう帰るんですか?」


 俺は代金だけ置いて店を出た。



 あ〜ぁ。なんか虚しいな。

 香織ちゃん‥‥どこいるの‥‥。



 とぼとぼ夜の街を歩いていると、遠くの方に見たことのある服が歩いていた。


 俺は目を凝らしよーく見てみると、なんと、香織ちゃんがたけると歩いているではないか!


 俺は一心不乱に走った。



「香織ちゃん!」


「小竹さん?」


「おじさん」


「香織ちゃんなんで連絡くれないの?」


「おじさん、香織は今俺と付き合ってるんですよ」


「えっ!本当なの?香織ちゃん」


「‥‥はい」


「えぇでも俺たちあそこまでやったのに?」


「おじさん!香織に何やったんですか!」


「え、あ、香織ちゃん!」


「香織行こっ」


 香織ちゃんはたけるに引っ張られて行ってしまった。



 絶対嘘だ、あんなにいい感じだったのにあいつが何か言ったんだ。


 許さない。


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